覚醒
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は舌を巻いた。
そのままムーンキャンサーは、その刃を猫缶に突き刺した。
「っ!」
可愛らしい外見とのギャップに、アカネが悲鳴を上げた。
確かにあれは小娘には不気味だな、とトレギアは内心思いながら、その顛末を見届ける。
やがて、猫缶が奥から潰れていく。ゆっくり、ゆっくりと。粘土のような柔らかさで、猫缶の体積が減っていく。
やがて零れ落ちた猫缶は、紙でできていたのかと思うほどペラペラになっていた。
「これ……」
猫缶を拾い上げたアカネが、少し体を震わせた。
だが、ムーンキャンサーはまたアカネに顔を押し付ける。何度も何度もアカネの体に擦り当て、「もっと頂戴」とせがんでいるようだった。
「トレギア。この子が何を言っているか分かる?」
「さあ? 私は翻訳機じゃないからね。でも、もっとご飯を上げたらいいんじゃないかな?」
トレギアが適当にそう告げる。するとアカネは、即座に未開封の缶詰をへ差し出した。
同じくそれも、ムーンキャンサーが触手で吸い尽くす。あっという間にアカネが持ってきたものを吸い尽くした。
「……次は? どうしたらいい?」
「私もそこまで詳しいわけではないからねえ……折角ペットの缶詰をあげているんだ。散歩でもしたらどうだい?」
「散歩……」
「折角だ。ほら、大きな公園がこの街にはあるじゃないか」
「見滝原公園?」
アカネはその言葉に口を歪める。
「どうしたんだい?」
「コンビニよりも遠い……」
その言葉に、トレギアは唖然とした。
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