第二章
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「いつもね」
「いい条件ばかりじゃない、お仕事大変とか?」
「忙しいけれどだからこそやいがいがあるわ」
「じゃあそっちも問題じゃないの」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「作る人、シェフのチーフがね」
茉祐は難しい顔で話した、二人でリビングで紅茶を飲みつつそうしている。
「滅茶苦茶頑固でこだわりがね」
「ある人なの」
「そうなの、しかもお店のマネージャーもそうした人で」
「同じタイプなの」
「しかも同じ年齢でね。何かあるとよ」
妹に難しい顔のまま話した。
「衝突して言い合ってね」
「ああ、喧嘩するの」
「毎日よ、皆またやってるってね」
その様にというのだ。
「うんざりしてるのよ、私喧嘩嫌いでしょ」
「そうよね」
「人の見るのもね、だからね」
「それが嫌なのね」
「二人共お互い以外には何もしないけれど」
それでもというのだ。
「毎日喧嘩見せられる身としてはね」
「嫌になるのね」
「ええ、顔を見合わせたら言い合うから」
その二人はというのだ。
「どうにかならないかってね」
「思ってるのね」
「そうなの」
「だから表情暗いのね」
「いい職場なのに」
「思わぬことがあったのね」
「ええ、慣れるしかないかしら」
喧嘩にとだ、茉祐は暗い顔のまま紅茶を飲んで言った。そうして一ヶ月程してだった。
彼女は普通の顔でアルバイトに行く様になり妹に話した。
「吹っ切れたわ、私が喧嘩してる訳じゃないし」
「それならなのね」
「もういいわ、お二人が喧嘩してもね」
「お姉ちゃんがする訳じゃないし」
「気にしなくなったわ」
「じゃあこれからも」
「ええ、私あそこでアルバイトしていくわ」
こう妹に話した。
「あんたも喫茶店で続けてるし」
「それじゃあね」
「これからもあのホテルでね」
「アルバイトしていくのね」
「そうしましょう、嫌なことも吹っ切れれば何てことないわね」
冷めた目での言葉だった、そうしてだった。
茉祐は大学に通いアルバイトを続けた、それは真理も同じで姉妹でそれぞれの場所で汗を流して大学生の青春を謳歌したのだった。
いいバイト先と思っていたら 完
2022・4・22
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