第二章
[8]前話
「それぞれの娘真似てる女の子増えてきたな」
「国生さゆりちゃんとかね」
「ああ、何か女の子はどんどん流行追うな」
「女の人もでしょ」
「奥さんもだしな、僕が就職した時は聖子ちゃんで」
「今も活躍してるしね、聖子ちゃん」
「ああ、しかし本当に皆流行追うな」
そんな妻を観て言った、やがて二人の間に娘が生まれたがその娘の美樹もまただった。
中一の時にこれまで長く伸ばしていた黒髪をショートにして家で嬉しそうに言った。
「広末涼子ちゃんみたいにしたの」
「今あの娘人気だからか」
「似合う?」
「そうだな、しかしお前も流行追うんだな」
妻によく似た娘を観つつだ、富田は思った。
「お父さんの学校もな」
「色々転勤してきたでしょ」
「それで何十年も働いてきてるけどな」
それでもというのだ。
「ずっと流行追い続けてるぞ」
「そうなのね」
「そしてお前もなんだな、女の子は皆流行追うんだな」
「そう言うお父さんもでしょ」
娘はここで父に言った。
「今下着ボクサーじゃない」
「下着か?」
「前はトランクスだったのに」
父の下着のことを言うのだった。
「最近出たばかりのそれ穿いてるでしょ」
「じゃあお父さんもか」
「そうよ、クラスの男の子だって皆アイドルとかスポーツ選手の真似するしね」
「そいえばあなた今イチローカットね」
妻も言ってきた。
「前は前田選手で」
「元々カープファンでな」
「結婚した時は山本浩二さんだったわね」
「ああ、カープファンだからな」
それでというのだ。
「そうだったんだよ」
「私達全員カープファンだしね」
「それでカープファンなのもね」
「流行か?」
「広島独特のね」
「そうなるのか」
妻のその言葉に考える顔で応えた。
「そっちも」
「そうかも知れないわよ」
「そうなんだな、皆流行を追うんだな」
「髪型だけでなくね」
こう夫に笑顔で言った、そして娘の髪型もファッションもその時によって変わり。
彼女が結婚して息子が生まれた時にだった、富田は孫の彼の今の服装を観てそのうえでこんなことを言った。
「今の子供の髪型とファッションだな」
「パリピね」
「そうだな」
校長になり定年を迎えてから言った、そして今ではすっかり温和な老人になっている羽根田の家に行っても孫の話をした、すると彼は曾孫がラッパーのファッションだと話した。今の流行はそちらもあるのだと。そして松田聖子の話もするのだった。彼女もまた時代によって変わっているのであると。
流行りの髪型 完
2022・4・21
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