第三章
[8]前話
「亜紀ちゃん見てみる?」
「そうね」
綾はクラスメイトの言葉に応えてだった。
部活が終わってから弓道部の道場に連れて行ってもらった、すると。
そこで亜紀は的に向かってだった。
生真面目な顔で熱心に弓を扱っていた、それは誰よりも集中して行っていた。綾はそんな妹を観て言った。
「凄く真剣ね」
「そうでしょ、確かに妹さん休憩の時は寝てるけれど」
「やる時はなの」
「一気に覚醒してね」
そうしてというのだ。
「真面目によ」
「やるのね」
「そう、やらない時は休んで」
「やる時は全力なのね」
「真面目にね」
「そうなのね」
「お家でもそうでしょ」
「そういえば家事もしてるし勉強も自分の部屋でね」
そこでというのだ。
「やってるみたいね」
「そうでしょ、やる時に一気にやるのもね」
真面目に全力にというのだ。
「やり方でしょ」
「弓道みたいに」
「そうよ、実際妹さんいい腕してるわよ」
クラスメイトは弓道の袴姿で弓を使う亜紀を観つつ綾に話した、見ればそのクラスメイトも袴姿である。
「大会にも出られるわよ」
「そうなのね」
「だからね」
クラスメイトはさらに話した。
「妹さんには妹さんのやり方があるから」
「休む時は休んでやる時はやる」
「あんたはいつも真面目だけれど」
綾のそのスタイルも話した。
「ああしてね」
「やる時はやるでもなのね」
「いいでしょ、だからあまりね」
「あの娘が休んでも言わないことね」
「そうしてあげたら?」
「そうね」
真面目そのものの顔で弓を使い続ける妹を観つつクラスメイトの言葉に頷いた、そうしてこの時からだった。
綾は亜紀が寝ていても何も言わなかった、そして共に大学を出て就職して真面目に働き結婚もした。二人共それぞれいい家庭を築くことが出来た。それぞれのスタイルのままで。
犬姉猫妹 完
2022・4・21
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