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犬姉猫妹
第一章

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                犬姉猫妹
 姉の山本綾は非常に真面目である、だが妹の亜紀はというと。
 いつも寝転がるか遊んでいる、家の中では昼寝を楽しみ学校では自分の机で寝ている。そんな妹を見てだった。
 綾、面長で細い顎と長い睫毛の切れ長の二重の黒目がちの目と色白で高めの鼻と奇麗な眉に長い黒髪と一五九程の華奢な感じの身体の彼女はいつも言っていた。
「亜紀、もっと真面目にしなさいよ」
「えっ、いつも動く必要ないじゃない」
 リビングのソファーで寝ている亜紀、茶色の髪をボブにしていて細い眉と大きなはっきりした目と大きな口とやや丸い感じの顔と一六〇位の背の均整の取れたスタイルの彼女は姉に返した。
「動かない時はよ」
「寝ていればいいっていうの」
「そうそう、休む時は休んでね」
 そうしてというのだ。
「そのうえでよ」
「動く時は動くのよね」
「そうそう、お姉ちゃんは真面目過ぎるのよ」
 姉にソファーで寝たまま言った。
「いつも緊張していたらよくないわよ」
「いつも真面目にしてないとだらけるわでしょ」
「それでもいいじゃない。やることやってたらね」
 それならと言うのだった。
「別に言われることないでしょ」
「やることやってたらなの」
「そうよ、だから今は寝ててもいいのよ」
「確かに亜紀はやる時はやってるわね」
 リビングでテレビを観ていた母の末美が言ってきた、顔は綾が歳を経た様である。
「勉強もスポーツも」
「そうでしょ」
「子供の頃からね」
「やらなくていい時は寝てればいいのよ」
 こう言って相変わらずソファーに寝転がっている。
「それで休んでね」
「力を溜めておくっていうの」
 姉は妹に枕元で問うた。
「そうだっていうの」
「そうそう、じゃあ家事の時になったら起こしてね」 
「自分で起きたら?」
「それじゃあ目覚ましセットしておくわね」 
 姉が怒るとだった。
 妹は自分のスマートフォンを出してセットしてだった。
 あらためて寝た、姉はそんな妹を口をへの字にさせて見ていたがやがて自分の部屋に戻って家事この日は母の夕食の手伝いをする時まで予習復習に励んだ。
 そして時間になったのでキッチンに入るとだった。
 もう亜紀はいた、それで包丁を持っていたが。
「時間通りに起きたのね」
「だってスマホでタイマーセットしたからよ」
「それでなのね」
「そうよ、お姉ちゃんも見てたでしょ」
「それまで寝ていて体力を温存してたのね」
「気力もね」
 その両方をというのだ。
「そうしてたのよ」
「全く。ぐうたらしていて」
「別にいいじゃない、怠けてる訳じゃないから」
 だからだというのだ。
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