第119話『3つの戦場』
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影丸の陰に隠れながらも活躍していた存在である。
「アーサーに大怪我を負わせたあの者を許しはしない。だが、今は影丸に任せる。私は私の責務を全うする」
そう言って彼は、静かな怒りを露わにしながら、空中から黄緑色に光る弓を出現させる。その弓を左手で掴み、右手は矢を番える──のではなく、さらに新たな弓を手にした。
「我が"双弓"、受けるがいい」
両手に弓を持って、一体どうやって矢を放つのか。そんなの答えは1つ。魔術を使うに決まっている。
アローが両手で構えた弓には、いつの間にか矢が伴っていた。ただの矢ではない。魔力がたっぷりと詰まった特製の矢である。
「"デュアル・ショット"」
自動的に放たれた双つの矢は真っ直ぐ敵へと飛来し、腹部に直撃した。
だが相手はアーマーでガチガチに防御を固めている。普通の矢であれば物理的に敵うことはないはずだが。
「──っ!?」
「鎧を貫いた!?」
「凄い……!」
だが魔力の矢であれば物理法則なんて関係ない。岩だろうが鎧だろうが、込められた魔力の量次第で容易く貫いてしまう。これがアローの能力、"双弓"の真骨頂だ。
「1人倒しただけでは状況は変わらない。続けて行くぞ。いいか?」
「はい!」
強力な助っ人を得た【花鳥風月】は、再び多くの重装兵たちと対峙するのであった。
*
「どこから来る……?」
一方、【日城中魔術部】サイド。
こちらは緋翼が敵の銃を全て無効化したため、相手との近接戦闘が行なわれていた。銃を失ったとはいえ、まだ剣を持っている。気を抜けば真っ二つだ。
とはいえ、終夜や緋翼を筆頭として、多くの魔術師が敵を抑えている。よって晴登は結月の護衛に徹することができているが、問題は前方の敵ではなく、もう片方のゲートの敵。そちらからの狙撃は何としてでも防がねばならない。
「と言っても、風じゃ防げないだろうしな……」
向こう側の様子を見ると、月は能力で銃弾を防げているが、晴登の能力ではそれができない。"鎌鼬"であれば可能かもしれないが、実際に防ぐには刀で銃弾を切るような繊細な操作が必要だ。晴登にはそんな芸当はできない。
「かと言って、結月を動かす訳にもいかないし……」
結月を抱えて避けるだけなら何とかなるかもしれない。しかし、それで結月の集中が切れて天井が壊れてしまえば元も子もないのだ。彼女に触れずに、かつ銃弾から守るにはどうすればよいのか。
「とにかく、その時はその時だ。だからそのためにできること──"予知"しかない」
ここに来て確実性の低い手を取る行為ははばかられるが、逆にこれしか手
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