暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
流れの奪い合い
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しかし、栗原さんはこれを平然と見送り2ボール2ストライクとなる。

「うわっ!!よく見たね!!」
「私なら打てるけどね」

どや顔の葉月さんだけど彼女なら本当に打ちそうだからまた怖い。ただ、予定と違った結果になったことで大河原さんの思考が崩れているのは感じ取れる。最高のボールを投げただけにそれが次の投球を悩ませる結果になってしまった。

スッ

しばしの思考の後、打者寄りに身体を動かすキャッチャー。それは内角へのクロスファイヤーを選択したゆえの行動だった。

(ストレートのキレはいい。コースさえ間違わなければ手も足も出ないはず)

決して調子は悪くない後藤さん。むしろトップギアに入っている現段階では甘い球じゃない限り彼女のボールを打てるとは思えない。

プレート一塁側を目一杯に使っての投球。渾身の力で振り抜かれた左腕から投じられるストレート。

カキーンッ

決めにいった投球。しかしそれはわずかに真ん中に入ったのか、待ち構えていた栗原さんに痛打されレフト前へと抜けていく。

「タイム」

それぞれランナーが進塁したところで東英ベンチが動く。町田さんが腕でTを作りブルペンを指さす。それを受けて大河原さんは球審へと選手交代を告げる。

『東英学園選手の交代・並びにシートの変更をお知らせいたします』

ブルペンからマウンドへとかけてくる背番号10。その姿にマウンド上のエースは唖然とすることしかできなかった。






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