オーバーブースト
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、青の閃光がトレギアの体内に発射された。
半壊した砲台を、直接トレギアの背中に叩き込む。
そのまま、砲台より青い光が溢れ出していく。トレギアの体さえも透かすほどの光量をもつそれは、そのままトレギアの体内より紗夜を押し出した。
「何っ!?」
「紗夜さん!」
可奈美は飛び出して、紗夜の体をキャッチ。転がりながらも、気絶した紗夜の無事を確認して安堵する。
遅れて聞こえてきた落下の音。
胸を貫かれ、ボロボロになったトレギアが、膝を折っていた。
「ガンナー……まさか、君に一枚取られるとはね」
胸の拘束具が外れており、内部の光の結晶が露わになっている。
トレギアは、再び銃口を向けたリゲル、紗夜を抱える可奈美、そして生身に戻ったハルトと、腕を組んだままのフォーリナーを睨んだ。
「……いいだろう。目的は果たした。今回は私の負けにしてあげようじゃないか」
トレギアの体が、闇に包まれていく。
だが、このまま彼を逃すわけにはいかない。可奈美は「待って!」と叫び、駆け出した。
「ふん」
だが、可奈美の迅位による加速を先読みし、トレギアはトレラアルティガを足元に着弾させる。
爆風により動きを封じられた可奈美。そして、全てが消え、夜の静寂が帰ってきたとき。
すでにトレギアは、その姿を消していた。
「……トレギアは?」
「周辺に気配なし。トレギアの存在は認められないわ」
リゲルが保証した。
ハルトは息を吐いて、紗夜を背負った。
「そう……まあ、あれ以上戦うのは危険だったからね」
「ええ。私たちも、全員満身創痍だったわね」
ハルトとリゲルが頷き合った。
可奈美は次に、もう一人の顔を見た。
「待って! フォーリナー」
すでにフォーリナーは、目を閉じて夜の闇の中に潜ろうとしていた。その足を止めたフォーリナーは、気怠そうに振り向く。
「助けてくれてありがとう!」
「別に、あえて助けたつもりはありませんわ。あの仮面野郎が気に入らなかっただけですもの」
「それでも、ありがとう!」
ニッコリと礼を言う可奈美。
だが、舌打ちをしたフォーリナーは、冷たく告げた。
「何か勘違いをしていません?」
フォーリナーは、その手に持った銃口を彼女の顔に近づける。
「今言ったばかりですよ? 助けたのではありません。気に入らないから、マシな方を手助けした。それだけですわよ?」
フォーリナーの金色の眼が可奈美を睨む。彼女はそのまま、可奈美、そしてハルトとリゲルを捉えた。
「一時的とはいえ、折角協力してあげたんです。見逃してあげますわ。でも、これだけは覚えていただかないといけないそうですわね」
月明りが雲に遮られていく。
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