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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
傾国の乙女に甘やかされて堕とされる話
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「どうにも怪しいと思ったんだ!僕をどうするつもりなの!?」
「どうする?決まっているでしょう?甘やかして、私に堕ちてもらう…と言いたいところですが、それはあくまで第2の目的。本来はと言いますと…。」

青い炎と裾をゆらめかせ、彼女は妖艶に笑って答えた。

「いわゆる、”取り立て”ですよ。」
「取り立て…?」
「そう。考えても見てください。見ず知らずの者が、自分の力を強引に無断で借りて使われたら、舞様はどう思われるでしょうか?」
「どうって…まさか!?」
「ええ、そのまさかです。」

楊貴妃の質問。そして僕は這いよる混沌との決戦を思い出す。
そうだ。あれに代償がないわけが無かったんだ。
僕は払うべき代償をずっと先延ばしにし続けてきただけ。
そしてそれが今、こうして取り立てに来た。

「天子様の代理でこの楊貴妃が来ました。無断で天子様の力を使ったのです。利息も込みでその見目麗しい身体でたっぷり支払ってもらわないといけませんよ。ねぇ?」
「…!」


青い炎が揺らめく。
そこから出てきた金魚のような炎の精が僕を囲むと、たちまち火柱に飲み込まれた。

「取り立てなんて…少し強引じゃないか!!」

しかしやられるままにはいかない。
お栄ちゃんの大筆を描き、くるりと回転し炎を振り払って僕は楊貴妃を睨みつけた。

「では、他にどのようにして返済していただけると?」
「確かに無断で借りたのはすごく失礼だったと思う。それは謝るよ。でもあの時はそうするしか無かったんだよ!」
「謝るだけで済むのなら、私がここに来る必要も無いのですが。」
「…。」

何も、言えない。
僕は楊貴妃の言う天子様に大きな”借り”を作ってしまった。
這いよる混沌の弱点、それは生ける炎の焔。
やつを倒すためにはそれを借りるしかなかった。
他に方法が無かった。
世界を救うために仕方がなかった。
そう言うのはずるいかもしれないけど、本当にそうだったんだ。

「それに、興味があったのです。」
「興味…?」

ふわり、とユゥユゥが浮き上がり、僕の方へとやって来る。
そうして細い綺麗な指が僕の顎に添えられ、くいと上を向けられた。

「ええ、あなたに。葛城舞という存在に。」
「…!?」

僕に…興味?

「その顔、その美貌。いいえ、外見だけではありません。邪神の精神支配すら払い除ける強固な意思も、あなたのすべてが私を虜にした。」

彼女の瞳が、僕を映す。
奥で青い炎がごうごうと燃えているような、その煌びやかで吸い込まれそうな双眸が、真っ直ぐ僕を見つめている。

「もしかしたら、取り立ての方が建前なのかもしれません。あなたが欲しいのです。舞様。欲しくて欲しくて…ずっと、観測(みて)おりました。あなたの全て
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