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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
傾国の乙女に甘やかされて堕とされる話
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ら、ユゥユゥも幸せそうだから。
「…。」
「なぁに、マイマイ?」
「…。」
「マイマイ…?」
ふと、我に返った。
あの謎の泥酔が切れたと言うべきか。
あれを食べさせられてから、僕はどうにも言動と思考がおかしくなる。
「…帰らなきゃ。」
「え?」
一瞬、ユゥユゥの顔が曇る。
「マイマイ…?なに、いってるの?」
「ごめんねユゥユゥ。僕、帰らなきゃいけないんだ。」
彼女から離れ、少しずつ、一歩一歩ゆっくりと下がっていく。
「帰るってどこに?お家?ここがマイマイのお家だよ?」
「ううん、違う。僕が帰らなきゃいけないところは…」
ユゥユゥが悲しそうな顔をする。
でもごめん。キミが何を考えているのかは分からないけど、僕は堕ちるつもりもないしここに住むつもりもない。
「お栄ちゃんのところだ。」
葛飾北斎。僕のお栄ちゃん。
それが僕の帰るところ。
あんな辛い日々を体験して、もう二度と離れるもんかと誓ったんだ。
それを自ら破ろうとするなんて、そんなのマスターもといマゾ犬失格だ。
「なんで?どうして!?あたしじゃだめなの!?」
「…ユゥユゥはダメなんかじゃない。でも、僕にはお栄ちゃんがいる。一番大事な人なんだ。」
「いちばん…だいじ…?」
ユゥユゥがしゃがみこみ、両手で顔を覆って泣き始める。
僕だって人間だ。
そんなことされれば良心はかなり痛む。けど、
「ごめん。僕はキミの大事な人にはなれない。」
ここは逃げることにした。
これ以上ここにいたらマズイ、と何やら第六感みたいなものが警笛を鳴らしてるんだ。
それにさっきから何かを肌で感じる。
熱いような、禍々しいような、
ともかくそんな、あまり良いものとは言えない空気。
そうして僕は踵を返し、宮殿から脱出しようとした
「あーあ。言う通りにしていれば良かったのに。」
その時だった。
「あつっ!?」
突然、青い炎が立ち上り僕の行く手を阻む。
他の出入口もそうだ。
ともかくこの部屋全てが、青い炎の壁に囲まれてしまっていた
「これは…。」
「帰るところ?ふふ、随分と面白いご冗談を言うのですね、舞様。」
「!!」
振り向くとそこにはユゥユゥ。
いや、よく分からない。
確かにユゥユゥなのだろうけど、先程とは明らかに何かが違っていた。
「私こそが、あなたの帰るべきところ。もう自ら苦しむ必要などないのです。」
口調は変わっている。そして見た目も大きく変わっている。
だけど、これは楊貴妃であって楊貴妃ではない。
僕が今まで接してきたのをユゥユゥとするならば、今目の前にいるのは”楊貴妃”。
歴史に名を刻んだ、傾国の乙女として知られた楊貴妃だ。
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