暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
華燭の典 その3
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も出るかもしれない……。
生命徴候(バイタル)にどのような影響をもたらすかは、俺自身も確かめていない。
推論ではあるが、老化を促す可能性もあるから、調整はしておいた。
例えば、血流や内分泌腺、性ホルモンなどの通常の倍に活性化させ、加齢に対抗出来る様にしてある」

 ベアトリクスは困惑した
目の前の男の目的……
行動も、あまりにも荒唐無稽な事に……
男の横顔を見ていると、男が振り返る
「おい娘御、日光の下に居る際はサングラスを掛ける事だな。
赤い目が台無しになるぞ」
男は哄笑する

 マサキは僅かばかりの仏心で彼女にそう答えた
しかし、ここは元の世界とは異なる世界
遠く銀河の彼方から飛来した化け物に攻撃を受けつつある世界である事を意識するのを忘れていた
同じ人の形をしていても、元の世界とは微妙に異なる事を考慮しなかった
彼の対応は危うかった
一番の秘密である『異世界の住人』である事を、外国人に匂わせてしまった……

「少々、無駄話が過ぎてしまったが、如何やら着いたようだ……」
彼等はモニターに映る景色を見た
天に届くような勢いでそそり立つ構造物
BETAが来て地上に構築したハイヴという存在
改めて、その姿を見ると恐ろしくなった
こんな構造物に潜ってデーターを得ようとするのは並大抵の努力では出来ない……
時折、光線が飛んでくるかと思ったが全く来ない
矢張り、カシュガルハイヴを根本から破壊した影響であろうか
そう考えていると、男が声を掛ける
「おい、今から特別ショーを見せてやる。
ハイヴを根元から消し去る様を特等席で観覧できる栄誉……」
首を斜めに傾ける
「今逃せば、金輪際味わえまい」
彼の方を向くなり、不敵の笑みを浮かべた
そう言うと、操作卓のボタンを押す
ゼオライマーの前腕部を機体の胸に近づける
胸と、両腕部の球体が輝き、眩い光が広がる
光はやがて地表まで広がると、勢いよく構造物を破壊し、周囲を彷徨っていたBETA事、消し去っていった



ふと、意識を祭場に戻す
どれくらい夢想していたのだろうか……
周囲を見ると騒がしい
何かあったのだろうか……
後ろを振り返ると、議長と話しているベアトリクス
相変わらず突慳貪(つっけんどん)な対応に苦笑する
そうしていると、此方を振り向いて男が話し掛けてきた
また、仕事や政治の話か……
半ばうんざりする気持ちになるが、気を取り直して受け答えするよう努める
「おめでとう、ユルゲン」
「ありがとうございます……」
男は、その言葉に笑みを浮かべる
「本当に良かった」
そう言うと、彼を抱き寄せる
言葉にならなかった

 彼は知る由もなかったが、この議長の行動は様々な波紋を呼ぶ結果になった
周囲を騒がせた男……
その
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