第2部
スー
スー族の大陸
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な、何!?」
一体何が危なかったんだろう。目の前には見たことのない葉っぱがあるだけだったのに。
「むやみに得体の知れないものにさわるな。毒があるかもしれないだろ」
そうか。植物にはそういう危険性もあるんだった。確かによく見ると、毒々しい色をしている。毒かどうかはわからないが、下手に触って体調を悪くしたら大変なことになる。
「ごめん、次からは気を付ける」
うう、弟がいるのにこんな醜態ばかりさらして情けない。
そうこうしている間に、もう日が傾き始めている。まだ全体の半分も進んでない事態に、ユウリの予想どおり、今日は野宿となりそうだ。
だが、この辺りに野宿できるような場所は見当たらない。
何もない草原で野宿するには危険なので、近くの木に登り、川のある場所を探すが、ここから歩いていける距離にはなかった。
「しょうがない。水に関しては今持っている分でなんとかするしかないな」
仕方なくユウリは、ここから少し歩いたところにある見通しの悪い草むらを切り開いて、野宿が出来る場所を作った。
「ルカ、大丈夫?」
「う、うん……」
今まで野宿なんてほとんどしたことがない彼にとっては、とても辛い状況だろう。
それでなくても舟を降りてからずっと歩き通しだったのだ。疲れた表情を滲ませながら、ルカは力なく頷いた。
ほどなく日が暮れ始めたので、夜営の準備をする。今夜は私とユウリで交代しながら見張りを行うことにした。
真冬とはいえ、この大陸の気候はそれほど寒くはない。夜はさすがに外套を羽織らないといけないが、それでもテドンのときのような寒さとはほど遠かった。
近くの木の枝を使って簡易テントを作り、 一足先にルカを休ませることにした。焚き火に当たりながら、私はあくびを噛み殺す。
「先に寝てろ。時間が来たら起こす」
「え、でもユウリの方が大変だったでしょ。先にユウリが休んでよ」
「お前に心配される筋合いはない。いいから寝ろ」
突き放すような言い方だが、ユウリなりの気遣いだというのがわかる。
ここはお言葉に甘えて、先に休ませてもらおうかな。
「わかった、ありがとう。じゃあ時間になったら必ず起こしてね」
「当たり前だろ。俺だって疲れてるんだ」
その言葉に思わず苦笑すると、ユウリは不思議なものを見るような目で私を見返した。
「なんで笑ってるんだ?」
「いや、だって、ユウリがそんな風に言うなんて、今まであんまりなかったから」
「……そうだったか?」
どうやら無自覚だったようだ。少なくとも、最初に会ったときの刺々しさはあまりなくなった気がするのだが。
私はテントに入り、ルカの隣で休むことにした。ルカはよっぽど疲れたのか、私の気配にも気づかず、ぐっすりと眠っている。
そんな彼の寝顔を眺めながら、私はゆっくりと瞼を
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