第2部
スー
スー族の大陸
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ホビット族のノルドさんの話を聞いたあと再びエジンベアに戻り、ヒックスさんたちと合流してから約半月。
港を出航してからほとんどの時間を船で過ごしていたからか、毎日変わらない海原の景色に、私はすっかり見飽きていた。
初めて船に乗った時、人目も憚らずはしゃぎ続け、ユウリに冷ややかな目で見られていたあの頃が懐かしい。
ただその間ずっと平和なわけではなく、二、三日に一度は海中から魔物が船に乗り上げてくることもあった。最初こそ戦い方がわからず、ユウリにサポートしてもらってばかりだったが、慣れてくると五匹ぐらいを相手でも、なんとか一人で戦えるようになってきた。今ではポルトガでユウリに教えてもらった、海の魔物の特徴や生息状況などを踏まえて、あらかじめどんな魔物がやってくるのか、ある程度予測できるようになっている。
「いつになく成長が早いじゃないか。ということはつまり、俺の教え方が完璧だったからだな」
ある時、そう自分で言って納得しているユウリを見て、相変わらずだなあと思ったこともある。
そんなことを考えていると、私の視線に気づいたのか、ユウリと目があった。
「なんだ???言いたいことがあるならちゃんと言え」
「ううん、別にないよ」
正直に言ったのだが、なぜか気分を損ねたユウリはこちらに歩み寄ると、いつものように私のみつあみを引っ張った。相変わらず怒りの沸点がよくわからない。
「アネキ! おれの修行の邪魔するなよ!!」
ユウリと向かい合わせになるように剣を構えながら私に文句を言っているのは、つい最近同行することになった弟のルカだ。彼は父と同じく世界を渡る行商人になるために、一時的に私たちとともに旅をすることになった。
そもそも行商人というのは、一人で行動するのが基本だ。長距離の移動なんかは馬車や船などを利用するが、特に父の場合は誰も行ったことのないような土地へも赴くことが多い。なので、そんな父を目指すルカもまた、一人で旅ができるよう、今のうちに私たちと行動を共にしようということになったのだ。
彼は現に今も、ユウリに剣術を教えてもらっている。その二人の様子を、私は邪魔にならないよう少し離れたところで眺めていたのだが、なぜかユウリの機嫌を損ねてしまったらしく、修行は中断された。
「ごめんごめん、私がいると邪魔になりそうだから、退散するよ」
そう二人に言い残しそそくさとこの場を去ると、私はデッキを降りて食堂へと向かった。
「ミオさん、どうしたんですか? お腹でも空いたんですか?」
ユウリが体調を悪くしたあの日以来、料理長とは色々話せる気安い仲になっていた。私は苦笑を浮かべながらも、言われてみれば小腹が空いてきたなとお腹をさする。
「はい……、えーと、軽い物でもいいので、何か食べられるものってありますか?」
「わかりまし
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