金色の瞳
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重力の魔法を意識しながら、ハルトと紗夜は一階に戻って来た。
「まさか、蒼井晶がまた参加者になってたなんて……」
エスカレーターを下りながら、ハルトは毒づいた。
まだ彼女たちは動けないはず。
「あらあら? もう逃げ切ったとお考えですか? わたくしも随分と見くびられたものですわね」
その声に、空気が冷える。
そして。
「きゃああああっ!」
隣からつんざく、紗夜の悲鳴。
見れば、紗夜の足を、白い腕が掴んでいた。突然の障害物に紗夜は躓き、仰向けでもがいている。
「な、なんだこれ!?」
ハルトは急いで紗夜に駆け寄り、彼女の足に群がる腕を解く。
だが、腕はそれだけではない。一本、また一本。あたかも影の中から生えてきたような腕たちは、無抵抗な紗夜へ大挙を上げて迫って来る。
「何なんださっきから!」
『ディフェンド プリーズ』
ハルトは苛立ちながら、防御の魔法を発動。赤く、丸い魔法陣を、影の手は突破することが出来なかった。
「紗夜さん! 今のうちに!」
ハルトは紗夜を助け起こし、出口へ急ぐ。
だが。
「あらあらあらあら。折角参りましたのに、もうお帰りになりますの?」
いつの間に回り込んだのか。
フォーリナーが、その両手に銃を握り、出口の前に立ちはだかっていた。
左右それぞれ異なる長さの銃。古風な雰囲気を見せるそれぞれは、右は小銃、左は彼女の身長ほどの長さを持つ。
その左側の銃口を、フォーリナーは紗夜へ向ける。
「紗夜さん危ない!」
ハルトは紗夜を突き飛ばすと同時に、銃弾が右肩を貫く。
「っ!」
「きひっ!」
ハルトの右肩が痛みを訴え動きが鈍るが、手心を加えるフォーリナーではない。彼女は人間離れした速度で接近し、回転蹴りを放つ。
ハルトは痛む右腕で防御し、慣れない左手で指輪を付けた。
『ドライバーオン プリーズ』
腰に現れた、銀のベルト。ハルトがその両端のつまみを操作すると、内部に仕込まれたギミックがはたらき、手の形をしたバックルがその左右を反転させた。
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
ベルトから流れ出す音声。それに構うことなく、ハルトは左手を駆使して、つまんでいる指輪とホルスターのルビーの指輪を入れ替える。そのまま上手く中指に差し込んだハルトは、宣言した。
「変身!」
ルビーに付けられているカバーを下ろす。すると、ルビーの指輪は何かの顔を描き出す。ベルトのバックルに読み込ませると、より赤い輝きが閃いた。
『フレイム プリーズ』
指輪より飛び出す、炎の魔法陣。それはハルトの左側に並び、ゆっくりとその体を書き換えていく。
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