暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
金色の瞳
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 重力の魔法を意識しながら、ハルトと紗夜は一階に戻って来た。

「まさか、蒼井晶がまた参加者になってたなんて……」

 エスカレーターを下りながら、ハルトは毒づいた。
 まだ彼女たちは動けないはず。

「あらあら? もう逃げ切ったとお考えですか? わたくしも随分と見くびられたものですわね」

 その声に、空気が冷える。
 そして。

「きゃああああっ!」

 隣からつんざく、紗夜の悲鳴。
 見れば、紗夜の足を、白い腕が掴んでいた。突然の障害物に紗夜は躓き、仰向けでもがいている。

「な、なんだこれ!?」

 ハルトは急いで紗夜に駆け寄り、彼女の足に群がる腕を解く。
 だが、腕はそれだけではない。一本、また一本。あたかも影の中から生えてきたような腕たちは、無抵抗な紗夜へ大挙を上げて迫って来る。

「何なんださっきから!」
『ディフェンド プリーズ』

 ハルトは苛立ちながら、防御の魔法を発動。赤く、丸い魔法陣を、影の手は突破することが出来なかった。

「紗夜さん! 今のうちに!」

 ハルトは紗夜を助け起こし、出口へ急ぐ。
 だが。

「あらあらあらあら。折角参りましたのに、もうお帰りになりますの?」

 いつの間に回り込んだのか。
 フォーリナーが、その両手に銃を握り、出口の前に立ちはだかっていた。
 左右それぞれ異なる長さの銃。古風な雰囲気を見せるそれぞれは、右は小銃、左は彼女の身長ほどの長さを持つ。
 その左側の銃口を、フォーリナーは紗夜へ向ける。

「紗夜さん危ない!」

 ハルトは紗夜を突き飛ばすと同時に、銃弾が右肩を貫く。

「っ!」
「きひっ!」

 ハルトの右肩が痛みを訴え動きが鈍るが、手心を加えるフォーリナーではない。彼女は人間離れした速度で接近し、回転蹴りを放つ。
 ハルトは痛む右腕で防御し、慣れない左手で指輪を付けた。

『ドライバーオン プリーズ』

 腰に現れた、銀のベルト。ハルトがその両端のつまみを操作すると、内部に仕込まれたギミックがはたらき、手の形をしたバックルがその左右を反転させた。

『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』

 ベルトから流れ出す音声。それに構うことなく、ハルトは左手を駆使して、つまんでいる指輪とホルスターのルビーの指輪を入れ替える。そのまま上手く中指に差し込んだハルトは、宣言した。

「変身!」

 ルビーに付けられているカバーを下ろす。すると、ルビーの指輪は何かの顔を描き出す。ベルトのバックルに読み込ませると、より赤い輝きが閃いた。

『フレイム プリーズ』

 指輪より飛び出す、炎の魔法陣。それはハルトの左側に並び、ゆっくりとその体を書き換えていく。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ