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レーヴァティン
第二百四十四話 青森入りその十三

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「そうしないとです」
「ならないな」
「どちらも暮らしに必要で」
「必ず売れてな」
「幕府の収益になりますので」 
 だからこそというのだ。
「欲を張らず」
「そうしてだな」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「最低限でいいです、若し値段を上げますと」
「そこに付け入る賊が出る」
「黄巣の様な」
 中国唐代末期に叛乱を起こした者だ、その塩賊であり莫大な財を持ちそれを背景に当時の中国を文字通り一周し唐を崩壊させた大乱を起こした。
「そうした者がです」
「出るからな」
「ですから」
 それでというのだ。
「それはです」
「最低限だな」
「そして質のいいものをです」
「売るべきだな」
「どちらも」
「それを破りますと」
 謙二も言ってきた。
「幕府は権威を失い」
「治めることもな」
「出来なくなります」
「ひいてはな」
「そこまで至らずとも」
 幕府の統治の崩壊をもたらさずともというのだ。
「そうした形で利を貪ると」
「信用がなくなる」
「そうなります」
「そうだな」
「そしてそんな下らないことをするなら」 
 それならばというのだ。
「この世界を救うなぞ」
「出来る筈がないな」
「国の財を潤したいなら」
「税や年貢、そうしたことはな」
「江戸幕府は極端にしても」
 常に幕府が財政的に動かなくなるのではないかという危惧を抱かせるまでに年貢や税を取らないではというのだ。
「まして幕府は産業が発展しても」
「民から取るのはあくまで年貢でな」
「お米だけで」
「街の方もな」
「僅かで」
「それではな」
「財政危機も当然です」
 その長い歴史の三分の二は苦しんできたことはというのだ。
「まことに」
「その通りだな」
「年貢や税それに塩や鉄にです」
「交易にな」
「産業で、です」
「幕府の財はな」 
 それはというのだ。
「潤う様にするな」
「そして民もです」
「豊かにだな」
「豊かさを何処までもです」
 まさにというのだ。
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