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レーヴァティン
第二百四十四話 青森入りその七

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「蝦夷全体でアイヌの三割の部族がね」
「幕府に入るとか」
「言ってきているわ」
「まだ攻めていないのに三割か」 
 英雄はこのことを聞いて眉をぴくりと動かした。
「それはまたな」
「あんたが見ても多いわね」
「幕府が兵とものを集めてだ」
「それでまだ攻めていないのにね」
「使者は送っていたがな」
 アイヌの諸部族に幕府に入る様に勧めるだ。
「そうだったが」
「それがなのよ」
「もう三割もか」
「降ったわ」
「俺は今の段階では一割がだ」
 アイヌの全ての部族の中のというのだ。
「降ればいいと考えていた」
「それが三割だとね」
「予想以上だ」
 英雄にしてもそうだった。
「それはまたな」
「しかも大きな部族が多いわ」
 降った部族にはというのだ。
「これがね」
「そうなのか」
「幕府の評判が前から蝦夷にも届いていてね」
「無体はしないことがか」
「それでみたいよ」
「降ってもこれまで通りの暮らしが出来るからか」
「むしろより豊かになる」
 即ち状況がさらによくなるということだ。
「そうだからね」
「いきなりそれだけ降ったか」
「しかも今の三割で」
「これからも増えるか」
「降る部族はさらに出て来そうよ」
「戦わずしてだな」
「そうなっているわ、そしてね」
 奈央はさらに話した。
「函館のところにいる部族もよ」
「降ったか」
「そうなったわ」
「そうか」
「正式にいたら彼等の勢力圏の中にね」
「函館もあるか」
「ええ、後はね」
 奈央はさらに話した。
「あんたがそうしたいならね」
「その部族と話してだな」
「函館にお城や街を築けばいいわ」
「では話そう」
 英雄は即座に答えた。
「話し合いで解決すればな」
「それでよね」
「いい」
 こう言うのだった。
「だからな」
「それではね」
「あちらのアイヌの部族の長と話そう」
 英雄は即座に述べた。
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