献身
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「リゲル、あなたも付いて行きなさい」
鈴音の一声で、リゲルも一緒に来てくれた。
見滝原南。
聞くところによれば、かつては栄えていた工場街らしいが、今は打ち捨てられており、無法者たちが集まる場所となっている。
そしてつい最近、ハルトと可奈美にとっても因縁の敵との戦いの場ともなった。
見滝原南の入り口であるその場所。大きな橋を渡り、南以外の場所と南の違いを肌で感じる。
ウィザード専用バイク、マシンウィンガーからハルトと紗夜は降りる。隣には御刀、千鳥の力で追いついてきた可奈美と、空を飛んできたリゲルも並んでいる。
「さっきカメラで蒼井晶がいるって考えられるのは、この地域?」
ハルトはリゲルに確認する。
頭にゴーグルを付けたリゲルは、周辺を見渡していた。彼女のゴーグルには、無数のデータが繰り返されており、鈴音が共有した映像が表示されている。
「ええ。おそらく。でも、そもそも見滝原南の監視カメラの数が少ないから、死角から移動した可能性はあるけど」
「他に手がかりもないし、いいんじゃない。……最終確認」
ハルトは紗夜に向き直った。
「本当についてくるの? 紗夜さん」
「はい。彼女が大変なことになったのは、私にも責任があります」
「……紗夜さんが気にすることじゃないよ。そもそも、いくら風紀委員だからって、生徒が首を突っ込む理由はないんだし」
「それでも、探させて下さい」
紗夜の主張に、ハルトはそれ以上抵抗することができなかった。
そんなハルトを見かねたのか、可奈美が二人の間に割って入る。
「まあまあ! でも、紗夜さんだって折角ここまで来たんだし。一緒に探そうよ! でも、四人もいるし、手分けしようか」
「それがいいってのは分かってる。でも……」
「分かってるよハルトさん。紗夜さんは絶対に一人にはしてはいけないって」
「それは私も賛成ね」
可奈美の言葉に、リゲルは頷いた。
「氷川紗夜。私からも伝えておくわ。貴女がここに来ることができたのは、あくまで蒼井晶の確認のためよ。この中で蒼井晶とはっきりと面識があるのは、貴女だけだから」
「はい」
「くどいほど確認するけど、紗夜さんは、俺か可奈美ちゃんが付きっ切りでいる形でいいかな?」
「それでいいと思うよ」
可奈美も同意した。
「でも、それだったらハルトさんが付いてあげた方がいいんじゃないかな? だってハルトさんにはガルちゃんたち使い魔がいるから、大きく動けなくても捜索範囲は広いし。私は多分この中では一番足が速いから、一人で探し回る方がいいよね」
「ああ。リゲルも索敵範囲が広いとは思うけど、どっちかというと連絡を密にしてほしいかな」
「ええ。ウィザードと衛藤可奈美のスマホに入れておくわ。
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