献身
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
三十分ごとに指定の場所に集合。それでいいわね?」
「うん」
ハルトは頷きながら、使い魔の指輪を使う。
『ガルーダ プリーズ』
『ユニコーン プリーズ』
『クラーケン プリーズ』
すると、赤、青、黄三色のランナーが出現する。それはそれぞれ、自動で組み上がっていき、レッドガルーダ、ブルーユニコーン、イエロークラーケンと呼ばれる存在となる。
それぞれに対応する指輪を指定の場所に組み込み、それぞれが動き始める。
三体の使い魔。本来は絶望の魔人、ファントムの探索のために町に放っていたが、今回晶を探すために前もって呼び戻しておいた。
使い魔たちはハルトの周囲を旋回しながら、指示を待っていた。
「頼んだよ、三人とも。この写真の子が多分この近くにいると思うんだ」
ハルトはスマホに入れた晶の写真を使い魔に見せる。
使い魔たちは数秒晶の写真を見つめた後、バラバラに霧散していく。廃墟となった建物の海に、その姿を消していった。
いや、正確にはガルーダだけ移動することがなかった。
ガルーダは晶の探索よりも、可奈美に寄りそうことを優先していた。
「ガルーダ?」
だが、声をかけてもガルーダは反応しない。
「おーい、ガルーダ」
ハルトが呼びかけるが、ガルーダは動かない。
それどころか、ガルーダは可奈美の肩に乗り、その頬に体を擦り付けてく。
「あ、あはは……それじゃあ、私はガルちゃんと一緒に行くよ」
「……機動性に優れたガルーダが可奈美ちゃんと一緒にいてもあんまり利点ないんだけどね」
ハルトは呆れながらも、可奈美の提案を受け入れた。
「それじゃあ」と手頃な廃墟ビルに入っていく可奈美を見届けて、ハルトも紗夜を促す。
「俺たちも行こうか」
「はい」
「生命反応はかなり多いわ。探すのはかなり骨が折れるわね」
ため息をついたリゲルの声を聞きながら、ハルトは紗夜とともに見滝原南の街路を歩き出した。
日が傾きだしてきた。
三月になると、それまでよりも日の入りは遅くなるが、流石にこの時間までは持たなかった。
「暗くなってきたし、今日はこの建物で最後にしよう」
ハルトは紗夜へそう提案した。
少し疲れてきた様子の紗夜も、その意見に反対することはなかった。
午後から今に至るまで、あちらこちらの建物に入っては、中にいる人々へ蒼井晶のことを聞いて回っていた。だが、誰も彼も酒や麻薬に溺れており、話を聞ける状態ではなかった。
そして、この建物も。
無人の状態のコンビニは、あらゆる棚が薙ぎ倒されており、陳列されていたであろう品々が散らばっていた。
「結局ここもだめか」
「……松菜さん。明日も探したいのですが……」
「俺は明日も探
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ