第2部
エジンベア
商人としての資質
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「それじゃあ二人とも、元気でね」
翌朝。アルヴィスの店の前で、私とユウリはビビアンたちと別れの挨拶を交わしていた。
「シーラと再会したらよろしく伝えてね」
「うん。今度はシーラと一緒に会いに来るよ」
「楽しみにしてるわ! 今度は女四人で朝まで語り明かしましょうよ♪」
「いいね、それ!」
二人で笑い合っていると、未だ店から出てこないアルヴィスの声が聞こえてきた。
「ミオ! 行く前にこれ返しに行ってきて!」
バタバタしながら出てきたアルヴィスが手にしていたのは、コンテスト前にルカが用意してくれたアクセサリーだった。
「沢山用意してくれたのよね。結局使わないものはお店に置いていってたから、すっかり忘れてたワ。アタシはこれからお店の準備とかあるから、ミオにお願いしてもいい?」
「いいよ。ちょうどお礼を言うつもりだったし。でもコンテストで着けてた髪飾り、一つなくしちゃったんだよね」
そう、あのとき魔物を倒すのに必死で、アクセサリーの一つを途中で落としたことに気づかなかったのだ。他に身に付けていたものは無事だったのだが、その一つだけが足りない状態になっている。
「だったら買ったことにして、そのなくした髪飾り分の代金を払えばいいだろ」
後ろからユウリが口を挟む。なるほど、それなら大丈夫かもしれない。
「それじゃあ、ルカに宜しくネ」
「うん、わかった。色々ありがとうね、アルヴィス」
「こちらこそ、二人とまた出会えて楽しかったワ★」
そう言うと私とアルヴィスは、互いに握手を交わした。
「私も、普段この町を出ることはなかったから、いろんな体験させてもらったわ。それに、ミオやユウリと一緒にいて、とーっても楽しかった!!」
今度はビビアンが私の手を取る。最初に出会った踊り子としての彼女が、まさかこんな身近な存在になるとは思いもしなかったと、しみじみ感じた。
「私もビビアンと一緒にいられて楽しかった! いろんなことを沢山教えてもらったし、おしゃべり出来て本当に嬉しかったよ」
「ミオ……。私ね、シーラがいなくなってから、こんな風に気兼ねなく話せる同年代の子っていなかったの。ま、これもトップダンサーの宿命って諦めてたんだけどさ。……本当はもっとずっとミオといたかったよ」
「ビビアン……」
いつも明るい彼女にそんな一面があったなんて、気づかなかった。自分が幼い頃、同年代の子が魔物に襲われて亡くなってしまったときのことを思い出し、私は思わずビビアンを抱き締めた。
「私も、住んでた村に同年代の友達なんていなかったから、ビビアンと友達になれて嬉しかったよ。また遊びに来るから! 約束しよう!」
「うん!」
お互い涙ぐむ姿を見せないよう、私たちは力強く抱き締めあった。
その後ビビアン、アルヴィスと別れを告げ、私たち
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