第2部
エジンベア
商人としての資質
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はルカの師匠であるドリスさんの店へと訪れた。
「いらっしゃいま……、アネキ!?」
そこで店番をしていたのは、ドリスさんではなくルカだった。
「久しぶり! 元気そうで良かった」
突然の姉の訪問に目を丸くするも、すぐにいつもの弟に戻る。
「なんだよアネキ! 来るなら来るって前もって言ってくれよ!! 身内に働いてる姿見られるの、すげー恥ずかしいんだぞ!!」
「そんなの気にするのルカだけだよ。なかなか様になってたじゃない」
なんていいつつ、私は内心ニヤニヤが止まらなかった。弟が働いてる姿を見るって、こんな感じなんだ。
「とうとう店を任されることになったのか?」
横からユウリが口を挟むと、ルカは急にかしこまった態度になった。
「あっ、お久しぶりです、ユウリさん! 違うんです。今日はたまたま師匠が出掛けてまして、その間店番してるだけなんです。もうすぐ帰ってくるとは思うんですけど……、あの、よかったらゆっくりしてってください!!」
緊張しているのか、早口で捲し立てるルカ。どうやらユウリ相手だと大分性格が変わるようだ。
「あのさ、ルカ。これ、ありがとうね」
落ち着いたところで、私はおもむろに鞄からアクセサリーを取り出すと、ルカは思い出したかのように目を留めた。
「ああ、それか。役に立った?」
「うん、いくつか使わせてもらったよ。それであの……ちょっと言いにくいんだけど……」
口ごもる私に、何事かと訝しむルカ。私は意を決して話した。
「私が身に付けてた髪飾りが一つ、なくなっちゃったの。それで、その髪飾り分の代金を、払おうかと思って……」
「髪飾り? それってどんな……」
ルカの言葉が途中で途切れる。ふと彼を見ると、わなわなと体を震わせながら、青い顔をしてアクセサリーを凝視しているではないか。そのただならぬ様子に、私の額にも汗が浮かび上がる。
「マジか……。ヤバい、師匠に殺される……」
そう言うと、頭を抱えてうつむいてしまった。もしかして私、とんでもないことしちゃった!?
「そ……そんなに大事なものだったの?」
恐る恐る尋ねると、ルカはゆっくりと顔を上げた。
「よりによってその髪飾り、師匠のアクセサリー箱からこっそり取ってきたやつだったんだよ……」
「ええっ!?」
てことはつまり、あの髪飾りはドリスさんの私物で、本人に黙って借りたってこと!?
「なんでそんなことしたの!?」
「前に師匠に見せてもらったとき、アネキに似合うかなと思って……。まさかなくすなんて思わないじゃん……」
そりゃ普通にコンテストで身に付けるくらいなら、なくしようがない。普通なら。
でも今ルカに『コンテストの最中に魔物が出て倒してる内になくした』と言ったところで、事態が変わるわけもない。
「ごめんルカ……。ルカは悪くないよ
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