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ドリトル先生とめでたい幽霊
第十一幕その十

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「大阪に戻って来て」
「それからですか」
「あんまり大阪と大阪の人が好きやさかい」
「大阪に留まられていますか」
「そや、煙草屋でヒロポン買うたのも」 
 このお話もというのです。
「実際のことや」
「そうですね」
「私は幽霊になってもな」
「大阪におられて」
「それでヒロポンも買うて」
「コーヒーもですね」
「こうして飲んで」 
 実際にコーヒーも飲んでいます。
「それでな」
「そうしてですね」
「馴染みのお店にもな」
「自由軒や夫婦善哉にですね」
「今も通って大阪のあちこちをな」
「巡っておられますか」
「ずっとな、しかし大阪も変わるわ」
 織田作さんは笑ってこうも言いました。
「私が生きてた頃からやが」
「あの頃からですね」
「三十年の間、空襲もあったしな」
「どんどん変わって」
「そしてな」 
 そのうえでというのです。
「死んでからは特に」
「変わりましたね」
「この辺りもそやしな、上本町かてな」
「昔はですね」
「ハイハイタウンなんてなかったし近鉄さんの周りもな」
 そこもというのです、ハイハイタウンの向かい側の。
「もっとな」
「違いましたか」
「新世界なんか映画館が一杯あったんや」
 通天閣の方もというのです。
「通天閣もまた建って」
「それで映画館は」
「パチンコ屋ばかりになって天下茶屋とか住吉も」
「変わりましたか」
「戦争前と直後と」 
 それにというのです。
「昭和と平成でそして今もな」
「令和でも」
「ほんま変わったわ」 
 こう言うのでした。
「テレビや冷蔵庫や洗濯機も出て来たし」
「ああ、そういえばそうだったね」
「織田作さんの頃なかったね、どれも」
「精々ラジオね」
「それ位だったね」
「ラジオでも相当なもんやったんや」
 織田作さんは動物の皆にもお話しました。
「昔はな」
「そうだったね」
「テレビとか出て来たのは戦後だから」
「大体昭和三十年代だね」
「あの頃に出て来たね」
「どれも見た時何やこれって思った」
 テレビも洗濯機も冷蔵庫もというのです。
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