第2部
エジンベア
戦いのあとで
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王様から『渇きの壺』を手に入れた私たちは、あのあと滅茶苦茶になったコンテスト会場を城の兵士たちとともに片付ける手伝いに加わった。
ビビアンとアルヴィスも、何だかんだで一緒についてきて手伝ってくれている。
「こういうの、劇場でも毎日やってるからね、力仕事でもなんでも任せてよ」
意外にもビビアンは、こういう作業に慣れているらしく、重そうな木の柱や散乱している観客席の椅子なども積極的に片付けていった。
「ビビアンに負けてらんないわネ。アタシも頑張らなきゃ★」
アルヴィスはもっとすごかった。何しろ一人であの大岩を転がしていったのだから。私が正拳突きをしまくったせいで少し動かしたら崩れてしまったのだが、その小さくなった岩の欠片をそのまま城の外へ軽々と放り投げる様子に、私たちだけでなく周りの兵士たちも一斉に歓声を上げたほどだ。
ちなみに聖水は、魔物が周辺にいないことを確認したあと、再び撒いたそうだ。なのでもうさっきみたいに魔物が侵入してくることはまず無い。
一通り後片付けが終わり、城の周辺が元通り綺麗になったところで、私たちは一緒に片づけてくれた兵士たちから感謝の言葉を受け取った。
「皆様のお陰で、こんなに早く元通りになりました。ありがとうございます!」
「いえ、そんな、とんでもない」
兵士の一人にお礼を言われ、まんざらでもない私。だがユウリに小突かれ、自分がへらへらした顔をしていたことに気づいて、慌てて表情を元に戻す。
「それじゃあ、用も済んだことだし、帰りましょうか」
アルヴィスの言うとおり、もうこれ以上ここにとどまる理由もない。荷物も手にし、城を出ようとしたそのときだった。
「すいません、ユウリさん! 少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
タイミングよく声をかけてきたのは、まだ私たちとそう変わらない年の若い兵士だった。息を切らせているところを見ると、急いで走ってきたようである。
「ああ、構わない。何の用だ?」
若い兵士は息を整えたあと、手にしていた封筒をユウリに差し出した。
「ヘレン王女殿下から言付かっております。ユウリさんにお渡しするようにと」
そう話すと、ユウリに一枚の封筒を受け取ったのを確認すると、一礼してすぐに去っていってしまった。
「王女から……?」
複雑な顔をしながら、ユウリは封を開けた。中には手紙が一枚入っている。
手紙を開き、ざっと一通り目を通すと、無造作に私に手紙を渡した。
「私も見ていいの?」
「後半はお前宛だ」
私は隣にいたビビアンと顔を見合わせながら、おそるおそる手紙を読んだ。
『拝啓 ユウリ様及び仲間の皆様へ
この度は我が国の危機を救っていただいて本当にありがとうございました。
わたくしの過ちでユウリ様をはじめ、多くの人たちに迷惑をかけてしまっ
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