第2部
エジンベア
戦いのあとで
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す。ライザーさんは若くしてそこのトップに登り詰めた豪商なんですよ!」
ライザーさんって、そんなすごい人だったんだ。それならコンテストの審査員だったとしてもおかしくない。
私がまじまじとライザーさんを見ると、ライザーさんは私の様子など気にすることなく、屈託のない笑みを浮かべた。
「あ、ごめんなさい。ずっと見ちゃって」
「気にしないでください。それより、あなたのことはマギーから聞きましたが、聞いていた通りの方でしたね」
え!? マギーってば、私のことを一体どんな風にライザーさんに伝えてたの!?
顔がこわばっているのがわかったのか、ライザーさんは慌てて手を振る。
「誤解しないでください。あなたのことは、自分のことをよく理解してくれている、優しい人だとマギーから伺っています。彼女の美意識を変えてくれた、ただ一人の方だとも」
「そ、そうなんですね」
そんな大層なことをした覚えは一切ないはずなんだけれど、随分大げさな言い方だなあ。
「自身の外見に無頓着な彼女が、まさかコンテストに参加していたなんて知りませんでしたけどね。……実はコンテストの予選では、二人に票を入れたんですよ」
「えっ、本当ですか!?」
「ええ。今までは僕も外見を着飾ることこそが真の美しさだと思っていましたが、マギーと出会って、その価値観が変わりました。美しさというのは人によって違う。その人が夢中になっている姿こそが光り輝いていると。そして、そんな僕を受け入れてくれたマギーを変えたのは、他でもないミオさんなんです」
そう言われても、私がマギーにしてあげたことなんて何一つない。むしろマギーに助けられてばかりだったのだが。
「私が本好きだということを、ミオさんは肯定してくれましたよね。今まで私の周りには、本が好きな女性なんて、女性としてすら認めない、そうおっしゃる人もいました。だから私も男性に興味を持たなくなったんですが、ミオさんのお陰で自分に自信を持つようになり、本以外のことにも目を向けられるようになりました」
「そんなの、私がただそう思っただけで……」
「まあまあ。人が変わるきっかけなんて、大体が言った本人にとっては些細なことなんだから。そこは素直に厚意を受け取った方がいいワよ?」
いつの間にそばに来ていたのか、アルヴィスが顔を出してきてそう言った。
「そうそう。あんまり素直じゃないとどっかの勇者みたいにひねくれちゃうからね」
ビビアンの一言に、一瞬ユウリの目が鋭く光る。
それじゃあ私が予選を突破出来たのも、もしかしたらライザーさんのお陰だったのかもしれない。コンテストが中止になった今では、本当のところはわからないけれど。
「おい、もう話は済んだのか?」
ずっと私たちから離れたところで待っていたユウリが、しびれを切らして口を挟んだ。その不機嫌
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