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レーヴァティン
第二百四十三話 蝦夷攻めその十四
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「そいつだけを処罰してだ」
「妻子は、ですね」
 謙二が家族の話を出した。
「構いませんね」
「罪に関わっていないならな」
「連座はさせないですね」
「俺は罪は問う」
 英雄はこのことは絶対とした。
「しかしだ」
「罪に問うのはその者だけで」
「家族や家臣まではな」
「罪には問わないですね」
「関わっていなければだがな」
 それでもというのだ。
「基本としてはだ」
「罪には問わないですね」
「本人だけでな」 
 まさにというのだ。
「他の者はいい」
「左様ですね」
「連座はいらん」
 英雄はきっぱりとした声で言い切った。
「法も刑も厳しくしているが」
「罪はその者だけを問う」
「そうする、間違っても一族や三族をだ」
「皆殺しにするなぞ」
「それはしない」
「韓信や黥布、彭越の様にはしませんね」
 謙二は漢王朝の功臣達の名を出した、彼等は漢が成立してすぐにその強さと封じられた勢力の大きさを警戒されて高祖である劉邦に粛清されたのだ。
「決して」
「その三人は粛清されてな」
「はい、その三族がです」 
 この三族とは親子妻子兄弟のことを言う。
「全てです」
「殺されてな」
「彭越に至ってはです」
 彼のことを特に話した。
「処刑され屍を切り刻まれ」
「確か塩漬けにされたな」
「そうして見せしめとしてです」 
 塩漬けにされても喰らう為にそうされたのではなかったのだ。
「諸侯に配られました」
「漢に逆らえばこうなる」
「そのことを知らしめる為に」
「そうなったな」
「はい」
 まさにというのだ。
「それは歴史にあります」
「史記に書いてある」
「はい」
 実際にというのだ。
「そうあります」
「俺は屍を見せしめにしてだ」
「塩漬けにしてもですね」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「その家族はだ」
「決して罪には問わないですね」
「他の者に何がある」
 罪に問うべきことがというのだ。
「関係ないのならな」
「それならばですね」
「問わない、問うのはだ」
「その者だけですね」
「あくまでな」
 こう言うのだった。
「俺はな」
「連座は用いない」
「それも絶対だ」
「左様ですね、ではその子が見どころがあれば」
「用いる」
 父が罪を犯してもというのだ。
「そうする」
「それだけのことですね」
「そうだ、ではそうしたことも頭に入れてな」
 そのうえでというのだ。
「ことを進める、そしてだ」
「蝦夷もですね」
「攻める」
 こう言ってだった。
 英雄は蝦夷攻めの準備に自分達も入った、この浮島を統一する為の最後の戦が今はじまろうとしていた。


第二百四十三話   完


               
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