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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十九話 余波(その5)
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ない。しかし、話は変えた方が良いだろう。
「ヤン、お前、トリューニヒト国防委員長は今回の件をどう考えると思う」
『……』
「おれはどうも国防委員長は単純な主戦派とは言えないんじゃないかと思うんだが」
ヤンが髪の毛を掻き回している。困惑かな。
『何故そう思うんだい、ワイドボーン』
おいおい、今度は俺が答える番か……。
「トリューニヒト委員長とシトレ元帥は密接に協力し合っている。軍政、軍令のトップが協力し合うのは当たり前だがそうなったのは最近だ。ヤン、シトレ元帥が単純な主戦派に協力するかな」
『同感だね、私もトリューニヒト委員長は主戦派ではないと思っている』
「その根拠は」
『ヴァレンシュタイン中将がトリューニヒト委員長について言った言葉が有る。外見と中身は違うってね。なかなか他人を利用することが上手だとも言っていた』
なるほど、外見と中身は違うか。そして他人を利用することが上手……。単なる主戦派では無いという事かな、主戦派という顔で皆を騙し利用している……。主戦派というのは受けが良いからな。
『ロボス元帥がトリューニヒト委員長、シトレ元帥、ヴァレンシュタイン中将が繋がっていると言った事を覚えているかい』
「ああ、覚えている。しかし、あれは……」
ロボス元帥の被害妄想に近い思い込みだったはずだ、そう言おうとして言葉に詰まった。ヤンもじっと俺を見ている。まさか……。
『正しかったのかもしれない……。私はあの三人が協力し合うようになったのはロボス元帥の失脚後だと思った。あの軍法会議の一件で軍の威信は低下した。それを回復するためにヴァレンシュタイン中将がシトレ元帥を宇宙艦隊司令長官に推した。軍の威信回復のためシトレ元帥もトリューニヒト委員長もそれを受け入れた、協力し始めた、そう思っていたんだが……』
「違うという事か……。シトレ元帥は何らかの事情でトリューニヒト委員長が単なる主戦派ではないと知った、そして協力体制を築いた。そうなると二人にとってむやみに戦いたがるロボス元帥は邪魔になった……」
ヤンが黙って頷いた。
辻褄は合う。しかし……。
「しかし、あの当時ヴァレンシュタインは全くやる気を喪失していた。協力体制を築いていたとは思えんな」
『うーん、あるいは中将は後からその中に入ったのかもしれない……』
また髪の毛を掻き回しだした。自信が無いか、分かり易い奴だ。
「これからどうなるかな、和平は可能だと思うか」
『分からない。帝国、同盟、フェザーン……。帝国と同盟はいがみ合いフェザーンは中立を守る、それがこの宇宙の秩序だった。その秩序が跡形もなく全て崩れたんだ』
「……」
『宇宙は今混沌の中にある。人類は一から秩序を築き上げる事になるだろう。どんなことでも可能だし、どんなことが起きて
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