第一章
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飲むと地が出る
豊永葵は職場では明るく面倒見がよくしかも敏腕の課長として知られている、アーモンド型の大きな吊り目え細く形のいいカーブを描いた眉に高い鼻と赤い大きな唇と赤がかったあちこちはねた髪の毛と一六三センチ程の抜群のスタイルを持っている。三十五を過ぎているが顔立ちもスタイルも若々しく家庭も充実している。
部下からも慕われているが一つ困ったことがあった。
「えっ、今日もですか?」
「今日も飲むんですか?」
「三日前もだったんですが」
「だってプロジェクト成功したでしょ」
葵は部下に明るく笑って話した。
「だからよ」
「そのお祝いですか」
「それで、ですか」
「飲むんですか」
「そうよ、じゃあ仕事が終わったら行きましょう」
こう言ってだった。
葵は課の者達を連れて店に行った、店はサラリーマンやOLが仕事帰りに行く様な居酒屋で繁華街にある。
そこで乾杯をして即座にだった。
葵は大ジョッキのビールを美味そうにぐびぐびと飲んだ、そしてジョッキを一杯空けるとそこからはだった。
焼酎を飲みはじめた、そうして部下達に言うのだった。
「あんた達飲んでる?」
「飲んでますよ」
「だってここ居酒屋ですから」
「だといいけれどね、飲まないとね」
その赤くなった顔で言うのだった。
「駄目よ、お酒はどんどんね」
「飲んでですね」
「楽しむことですね」
「そうしないと駄目ですね」
「そうよ、今日うちは旦那が家事当番だしね」
このことはしっかりしている、葵は自分が家事を担当する日は飲まないのだ。だがそうでない日はだ。
こうして飲んでいる、それでだった。
飲みながらあれこれと話すがその話はというと。
「野球にバスケにバレーボールに」
「自分の趣味の話ばかりだな」
「サーフィンとか」
「それに今流行りのラノベとか」
「今日も課長節炸裂だな」
「もう自分の興味のある話ばかり」
見れば誰が聞いてなくても喋っている。
「それも飲んで食べる」
「よくこれでこのスタイル維持出来てるな」
「ああ、それ課長さん何でも早朝ランニング欠かさないそうだから」
「それに太らない体質らしいから」
それでというのだ。
「太らないらしいよ」
「しかし誰も聞いてないのによく喋るな」
「ひっきりなしに自分の興味のある話ばかりしてるよ」
「絶えず飲んで食べて」
「普段は人の話を聞いて頷いてくれるのに」
「それで自分の考えは出せる時は出す位なのに」
「趣味の話はしないのに」
それがというのだ。
「何で飲むとこうなるんだろうな」
「お酒飲んだらその人の地が出るらしいけれど」
「これが課長の地なのか?」
「そうなのかな」
誰もが首を傾げさせた、葵は兎角飲
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