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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
最終審査の真実
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『渇きの壺』はそなたらに渡すとしよう」
『ありがとうございます!!』
 私とユウリ、二人の声が同時に揃う。
「それはこちらの台詞だ。改めて、礼を言う」
 再び深々と頭を下げる王様。その表情は、玉座の間に入ったときよりも、穏やかだった。



 その後玉座の間を退出し、城の広間で待機していると、程なく一人の兵士が渇きの壺を手に、私たちの前にやってきた。
「陛下からのご命令により、渇きの壺をあなたたちへと賜るよう、仰せつかりました」
 ユウリに渡されたのは一抱えほどの大きさの素焼きの壺だった。けれどどう見ても、その辺の民家に置いてあるような何の変哲もない普通の壺にしか見えない。
「おい、本当にこれが渇きの壺か? どう見ても普通の壺にしか見えんが」
「もっ、もちろん!! お城の地下にある渇きの壺とのことで、王様たちにも確認しましたよ!!」
 ユウリも私と同じように疑っているようだ。
「へー、これが渇きの壺ねえ。確かにこのまま水瓶に使っても違和感なさそうね」
 一般人のビビアンも壺を覗き込みながらそう呟いた。
「ま、何にせよ、目的のものが手に入って良かったワネ♪」
 そう言って、にっこりと私に笑いかけるアルヴィス。
「それもこれも皆、ミオが頑張ったおかげね!」
 ビビアンも満面の笑みで私の背中を叩いた。
「ううん。皆が協力してくれたからだよ。ありがとう」
 私だけなら、きっとコンテストどころかお城に入ることすらできなかっただろう。ビビアンやアルヴィス、それにユウリの力があったからこそ、渇きの壺を手に入れることができたんだ。
 私が感慨に浸っていると、ふとユウリと目が合った。
「……ありがとな」
「へっ!?」
 唐突にお礼を言われ、私は思わず変な声を出す。
「あらぁ? 声が小さくてよく聞き取れなかったみたいよ? もう一回言ってみたら?」
 ビビアンがニヤニヤしながらユウリに話しかけるが、無視したユウリは結局その後何も言わなかった。

 色々あったけれど、ようやく私たちはオーブを手に入れるために一歩近づいたのだ。まだまだ先は長いが、今はこの達成感と喜びをひたすら噛み締めることにしたのだった。
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