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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
最終審査の真実
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んでもないことに気がついた。
「どうしよう、髪飾りがない……!!」
 ルカから借りた髪飾りが一つなくなっていたのだ。おそらく魔物との戦闘中に落としてしまったのだろう。私が呆然としていると、
「どしたのミオ? なんか手こずってる?」
 あまりにも遅いからか、ビビアンが仕切りの向こうから顔を出してきたので、私はすぐに彼女に事情を話した。
「あー……、確かにないわね、髪飾り。でも、事情を説明すればきっと許してくれるんじゃない?」
「うーん……、そうかなあ」
 探しに行きたいが、どこで落としたのか見当もつかない。
 救護室を出ると、既にユウリたちは身支度を終えていた。
「国王が俺たちに話があるそうだ。すぐに行くぞ」
 ユウリの側には立派な鎧を着た衛兵が立っていた。他の衛兵と多少鎧の雰囲気が違うのは、きっと国王様側近の人たちだからだろう。目が合うと、その人は私に向かって深くお辞儀をした。
「この度は、ヘレン殿下をお守りして下さって、ありがとうございました」
「あ、いえ、とんでもないです!」
 そんなに畏まられると、どう反応していいかわからない。その様子がおかしかったのか、向かいにいたアルヴィスが小さく苦笑する。
「ミオってば、そこは堂々とするべきなんじゃない?」
 アルヴィスに指摘され、思わず赤面する私。
「では、皆様。こちらへ」
 衛兵に案内され、私たちは中央の玉座の間へと続く廊下を進んだ。途中ビビアンが、「私までいていいのかな? 場違いじゃない? 」と呟いたが、その言葉を聞いていた衛兵が「大丈夫です」と言ってくれたので胸をなでおろしていた。
 玉座の間へ到着すると、扉を守っている兵士が私たちに譲るようにその場から離れる。
「国王陛下から、我々兵士は席を外すよう申し付けられましたので、これで失礼致します」
 衛兵はそう言うと、扉を守っていた他の兵士とともにその場から去っていった。
 玉座の間の前に残ったのは、私たち四人のみ。
「人払い? 何か大事な話でもあるのかしら」
 去り行く衛兵たちを眺めながら、アルヴィスが呟く。
 開ける人がいないので、一番前にいたユウリが、荘厳な扉をゆっくりと開ける。扉の向こうには、先ほどコンテストで拝見した王様と王妃様が静かに座っていた。
 私たちは玉座へと延びる赤い絨毯の上を進み、王様の御前でしゃがむと、そのまま頭を下げた。
「そうかしこまるな、勇者とその仲間たちよ。この度は、我が国の民たちを救ってくれて、大変感謝している」
「いえ、当然のことをしたまでです。私たちは本来魔物の脅威から人々を救うのが目的で旅をしておりますから」
 頭を垂れていたユウリが顔を上げると、王様は心なしかほっとした表情を作った。
「そればかりでなく、わが娘も救ってくれたと聞いた。ヘレンは遅くにできた娘でな
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