失敗魔法
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?」
「うん。仮に見滝原から外に出ていないならって前提があるけど、それだったら情報を持っていそうな人のところ」
そう言いながら、可奈美はポチポチとスマホを操作している。すぐに彼女の手元から、メッセージが送られてくる音が聞こえてくる。
「うん、向こうもオッケーもらったよ。早速行ってみようよ」
「速っ!」
「情報を持っていそうな人ですか?」
可奈美の言葉に、紗夜が聞き返した。
「うん。聖杯戦争で位置情報を持っていそうな人。安心して。なるべく戦いたくない人だから、紗夜さんが危険に巻き込まれることは絶対にないよ」
「そうですか……」
そうはいうものの、半信半疑のままだと彼女の顔に書かれている。
その最中、スマホから顔を上げた可奈美が、ウィザードへ尋ねた。
「ハルトさん、変身いい加減に解いたら?」
「ん? ……ほら、ラビットハウスも今色々模索してるじゃん? たまには変身したまま……」
「そんなのおかしいって。ほら、変身解除しよ! 紗夜さんもハルトさんの顔みたいでしょ!」
可奈美はそう言って、ウィザードライバーのつまみを解除する。
変身待機になるモードであるが、うっかり気を抜いてしまったウィザード。そのまま赤い魔法陣がウィザードの頭上へ飛んで行き、その姿を松菜ハルトの姿へ戻してしまった
ウィザードという蓋が外され、スメルの魔法が再び外気に触れる。
予想外の事象であろう可奈美と紗夜は、ともに唖然としている。
その間、彼女たちの表情に色んな文字が見えた。
・洗ってない雑巾みたいな臭い
・田舎のシマヘビとかアオダイショウの臭い
・洗ってないザリガニの水槽の臭い
・有機溶媒のピリジンをより強烈にした臭い
・洗わないで放置した柔道着を詰め込んだ鞄を開けた時の臭い
「あ……あはは。ちょっと、魔法に失敗しちゃって。一番ショボい変身してた……かも……」
だが、それ以上の言い訳を聞く者はいなかった。
あまりの強烈な臭いに、可奈美と紗夜は白目を剥いて倒れたのだから。
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