失敗魔法
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て、私も協力できないかと」
「そうなんだ……確かに心配だけど、何でそれを俺に? 警察とかの方がいいんじゃないの?」
「それは……この生徒の写真を見れば分かります」
紗夜はそう言って、写真を差し出した。
それを受け取ったウィザードは仮面の下で目を丸くする。
「この子……!」
その顔写真。
明るい笑顔を浮かべる少女。
いるだけで周囲を笑顔にする印象を抱かせるが、彼女がその実残虐な顔を浮かべることを知っている。
「蒼井……晶……!」
以前、紗夜の命を狙った少女。
聖杯戦争において、アヴェンジャーのサーヴァント、スイムスイムを従えて、幾度となく聖杯戦争の舞台裏で暗躍していた彼女。
ウィザードの直接の面識は、一度ラビットハウスを訪れた時だけしかないが、彼女がアヴェンジャーのマスターだと、自身のサーヴァントから聞いた。
「行方不明になった生徒って、この子?」
「はい」
紗夜の肯定に、ウィザードは頭を抱えた。
「普通の家出少女もされど、元とはいえ参加者じゃ尚更放っておくわけにもいかないよね」
「はい。私はないですけど、もしかしたら他の参加者が狙ってくる可能性もありますから」
「探すのはいいけど、約束して」
「はい? 何でしょう?」
「紗夜さんは着いてこないこと。今後、この件には関わらないこと。これは俺一人で探す」
「なんで……」
ですか、と彼女は続けようとしたのだろう。
だが、自らで踏みとどまった理由も理解しているようだった。
ウィザードはその先をあえて口にする。
「危険だからだよ。蒼井晶は以前、君の命を狙っていた。参加者じゃなくなったとはいえ、何を考えているか分からない子でしょ?」
「はい……」
「これが、ただの家出少女だったら、別に紗夜さんが一緒に来た上で協力するよ。でも、参加者でもない日菜ちゃんだって狙ってた子だよ?」
「でも……」
「いいんじゃない? 連れて行っても」
突如、別の声が割って入って来た。
それは。
「衛藤さん」
衛藤可奈美。赤いラビットハウスの制服でやって来た彼女は、そのままカウンターに入り、ウィザードの隣に立った。
「ハルトさん、さっきから呼んでるのに応答ないんだもん。気になってこっちが来ちゃったよ? ……って何で変身してるの?」
「あ、これはその……色々あって……」
ウィザードは仮面の下で目を泳がせた。
だが可奈美はそれ以上言及せず、カウンターから身を乗り出した。
「私も行くよ。それだったら、紗夜さんも一緒に連れて行っていいでしょ?」
「……いや、ダメだ」
ウィザードは否定する。
「そもそもが危険すぎる。まだトレギアだって倒していない以上、いつ狙われるか分から
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