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Fate/WizarDragonknight
失敗魔法
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ガンを先に引っ張り出す。こんなことに魔力を使う日が来ようとはと思いながら、ウィザードはウィザーソードガンに付いている手の形をしたオブジェ、その親指を開いた。

『キャモナシューティング シェイクハンド キャモナシューティング シェイクハンド』
「……今更だけど、俺何やってるんだろ」
『ウォーター シューティングストライク』

 誰もいない店内で、ただ一人で変身して、自らの能力を暴発させて、その後始末のために必殺技まで行使。

「……ちょっと恥ずかしいな」

 力を最小限にとどめながら、水の弾丸を頭上に発射する。
 ウィザードの頭上で分散した水の魔法は、そのままウィザードの全身に行き渡り、その体にまとわりついた臭気を落としていった。

『フレイム シューティングストライク』

 即座に水のウィザードのまま、ルビーの指輪を読ませる。同じように発生した熱気をウィザードの体に浴びせると、ウィザードの体及びその足元に散らばった水が瞬時に蒸発した。

「瞬間ドライヤー……これ……もしかして、生身の体をウィザードで囲って蓋してるだけなんじゃ?」

 そう思って、ウィザードは腕に顔を近づけてみる。ウィザードとして魔法能力に秀でた肉体は、幸か不幸か生身の異常を完全に遮断しており、異常が分からない。
 このドタバタ劇の元凶、スメルリングを摘まみ上げながら、ウィザードは蛇口をひねる。
 水のウィザードの姿のまま水道水で指輪を洗うなんてこと、もう二度とないだろうなと確信しながら、ウィザードは左手でベルト、ウィザードライバーを動かした。

「……これの効率的な利用方法は、今後ゆっくり考えよう」

 ようやく、ウィザードライバーから飛び出た青い魔法陣がウィザードの体をこの場に相応しいハルトの姿に戻していく。
 色々あって眠気が吹っ飛んだが、今度はどっと疲れが湧いてきた。
 だが、サファイアの面が消失したのと同時に。

「うわっ! 臭っ!」

 体からまだ何も落ちていない。
 思わず鼻をつまみ、大急ぎでウィザードライバーを再出現。

「変身変身変身!」
『フレイム プリーズ』

 大急ぎでルビーの指輪をベルトにかざす。先ほどの青とは打って変わって、赤い魔法陣が、ハルトの体を火のウィザードへ作り変えていく。

「松菜さん……?」

 変身が完了した時、丁度ラビットハウスの呼び鈴が鳴った。
 店の入り口にいたのは、馴染みのある少女。すらりと長い身長と、腰まで届く長い水色の髪。氷川紗夜は、困惑の表情を浮かべていた。

「なぜ……一人の店内でウィザードに?」
「あ、やあ。紗夜さん。久しぶり……でもないかな?」

 ウィザードはその姿のまま、紗夜へ歩み寄った。少し固まりながら、紗夜を店内に案内する。


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