暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
失敗魔法
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「眠……」

 カウンターにもたれかかかりながら、ハルトはそう呟いた。
 結局可奈美にせがまれて、朝からこの時間までランニングをすることになった。
 徹夜で指輪制作なんてするんじゃなかったかなと後悔しながら、ハルトは入口を見つめた。
 シフトに入ってから数時間たっているが、客が入ってくる様子が全くない。

「可奈美ちゃんも掃除から戻ってこないし……カフェインでも取るか?」

 ハルトは蛇口をひねり、顔を洗う。だが、すでに限界を超えた眠気をおさえることはできなかった。
 即興でコーヒーを淹れ、がぶ飲みする。だが。

「ダメだ、カフェインじゃ眠気が治まらない……! そうだ、だったら手入れだ手入れ」

 ハルトは口走りながら、腰のホルスターに収まっている指輪に手を触れる。手慣れた手つきでルビーの指輪を取り出し、

「えっと、コネクトコネクト……」

 カウンターにルビーの指輪を置いて、別の指輪を取り出した。眠さで数回頭を揺らしたものの、意地で堪えて指輪をベルトにかざした。
 これで、いつも通り作られた魔法陣を二階の個室につなげ、指輪の手入れ用具一式を取り出そうとしたものの……

『スメル プリーズ』
「へ?」

 予期していたものと全くことなる音声に、ハルトの目が点になる。
 だが、読み込んだベルトは、指輪に組み込まれた術式を展開。ハルトの目の前に、見知らぬ魔法陣が発生する。

「ちょ、ちょっと待って! これってゴーレムとセットで作った奴じゃ……ハッ!」

___はい、可奈美ちゃん。そっちの指輪も、返して___
___ああっ……___

「あのあと片付けてなかった……ゲホッゲホッ!」

 魔法陣がハルトを包むと同時に、異臭がハルトの体に張り付いた。

「う、嘘だろ!? って、本当にこれキツッ……! この指輪、何に役に立つんだ!?」

 アクシデントで初めて使った指輪を睨みながら、ハルトは慌てて他の指輪を取り出す。

「あ、あった! こういう時の……」
『ドライバーオン プリーズ』

 ハルトが手の形をした指輪を翳す。すると、ハルトが腰に巻いているベルトの上に、さらに銀のベルトが装着された。バックル部分を強調する作りとなっており、手の形をしたバックルは、ベルトの両端のつまみを操作することで左右に向きを変えていく。

『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
「変身!」
『ウォーター プリーズ スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜』

 カウンターの奥に立ったまま、ハルトは水のウィザードへ変身した。
 カウンターに充満していく臭気を取り除くため、今度こそコネクトリングを取り出し、使用する。

『コネクト プリーズ』

 手入れキットよりもウィザーソード
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ