第2部
エジンベア
美少女コンテスト最終審査・後編
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私は首を伸ばして地面を見下ろす。ちょうどここは城門の前。私がさっき見た何か大きなものが引きずられた跡もちゃんとある。
「何かを引きずった跡がある。これが何かはわからないが、この跡のせいで魔物が入り込めるようになったようだ」
「? どういうこと?」
門が開いていたと言うのならわかるが、引きずった跡なんて魔物の侵入と何か関係があるのだろうか?
「城門が開いているだけなら魔物は入ってこない。そもそも空を飛ぶ魔物なら、城壁を越えればすぐに街中に入り込めるだろ」
「ああ、そういえばそうだね」
「だから、空を飛ぶ魔物でも入ってこられないように、この国の城壁の周りには、定期的に聖水が撒かれているそうだ。だから門が開いていても普段はこの国に魔物が侵入することはない」
つまり、魔物避けの聖水を街の周辺に撒いてあるから、たとえ空を飛ぶ魔物でも侵入することはできないってことか。
「だが、誰かがここから何かを引きずったせいで、聖水が撒かれたところが消えてしまった。そのせいで効力が消えて魔物が侵入してしまったんだ」
「そんな……いったい誰が……」
「あっ、いたいた!! 皆、大丈夫ー!?」
考え込んでいると、城の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
あの声は、アルヴィス!!
城門をくぐってやってきたアルヴィスは、その巨躯からは想像できないほどの早さで、あっという間に私たちのもとへと辿り着く。
「って、ちょっと!? どうしたのミオ、その姿!?」
アルヴィスが驚くのも無理はない。今の私の姿は、まるで火事場から逃げ遅れた人のようだからだ。顔は埃まみれ、髪の毛はあちこち焼け焦げており、さらにドレスもボロボロで、もはや原形すらとどめてない。もしこの姿でコンテストに出ようものなら、出場できないどころか国外退去されること間違いなしである。
「えーと、実は魔物との戦闘で……」
「ちょうどよかった。こいつを運んでくれ」
私の話を遮るように、ユウリはアルヴィスにそう言い放った。
アルヴィスはじーっと私を眺めると、
「ごめーん★ アタシ今までずっと魔物ばっかり倒してたから、へとへとなのよ。悪いけどユウリくん、引き続き頑張って♪」
「なっ……! お前ほどの奴があの程度の戦闘で疲れるわけないだろ!」
まさかアルヴィスに断れるとは思ってもみなかったのか、必死に反論するユウリ。というか、二人に突き返されて、ちょっとショックなんだけど。
そんな二人のやり取りを眺めているうちに、何かに気がついたのか目を輝かせるヘレン王女。
「あっ、もしかしてユウリ様、疲れたわたくしを運んでくれるために、この方に頼もうとしたんですのね?」
「あらやだ、そうだったの? もうっ、アタシったら、気がつかなくてごめんなさい!」
「え!?」
王女に目を留めたアルヴィスの
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