第2部
エジンベア
美少女コンテスト最終審査・後編
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ていたのだろう。実際私も彼の姿を見た途端、涙が出そうになった。
「ユウリ! 助けてくれてありがとう」
安堵した私がお礼を言うと、彼は私を一目見た瞬間、なぜか顔を背けた。
「お前……、とりあえずその服、何とかしろ」
「何とかってどういう……。げっ!!」
よく見ると、さっきのベギラマの炎で燃え移ったドレスの裾が短くなっただけではなく、あちこち穴が開いてしまっており、とても美少女コンテストに参加した人間とは思えないほどみすぼらしい格好をしていた。
「ちょっ、ちょっと待ってて!!」
私はとっさに近くにある茂みに隠れ、残った部分のドレスの裾を破り、その布を使って穴が開いた部分をうまく隠せるようにアレンジした。よし、大分短くなってしまったけれど、ミニスカートと思えば着れなくもない。
茂みから出ると、今度は私の足元に視線を向けるユウリ。
「おい、なんで靴を履いてないんだ」
「あー……、急いで走ろうとしたら、裸足の方が早いと思ってつい脱いじゃった」
改めてみると、ずっと裸足で走ったり戦ったりしていたせいか、ところどころ傷ができており、場所によっては血が固まっていた。
「さっきのベギラマで魔力を使い果たしたから、もう回復呪文はかけられないぞ」
「大丈夫だよ。今まで気にせず走ってたから今更怪我なんて……、いたっ」
そう自覚した途端、今になってズキズキと両足の裏が痛み始めた。けれど大丈夫といった手前、やっぱり歩けないとは言い出せない。
「……世話のかかる奴だ」
だが、ユウリはそんな私の様子を察したのか、大きくため息を吐くと、私に背を向けて立膝をついた。
「城まで運んでやるから、俺の背中に掴まれ」
「え!?」
まさか、おんぶしてくれるってこと!?
いやあのさすがに、恐れ多いというか、色々と後が怖いんですけど……。
「いやでも、このくらい大したことないし……」
「ユウリ様!! わたくしも足が痛いですわ!! わたくしが先におぶって……いえ、お姫様抱っこして欲しいですわ!!」
私たちの様子を見て、我こそはと言わんばかりにヘレン王女がユウリに訴えた。だが、ユウリは厳しい目を彼女に向け、
「悪いが、重症の奴を優先させてもらう」
珍しく、きっぱりと彼女の要望を断った。そして、いいから早く乗れと言わんばかりの視線を私に送り付ける。
ここで踏みとどまってもユウリの機嫌が悪くなりそうなので、躊躇いつつも私は素直に厚意を受け取ることにした。
「あの……じゃあ、お願いします」
人一人を背負うなんて相当重いだろうと、申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、そんな素振りなど一切見せずユウリは軽々と私を背負った。そしてヘレン王女に合わせてゆっくり歩くと、ユウリが事情を把握してない私たちのことを察してか、今の城の様子を説明してくれた。
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