第一章
[2]次話
長い留守番
姉夫婦が夫の海外赴任で長く家を空けると聞いた。
それでサラリーマンをしていて大学時代からずっと同じアパートで暮らしている浜田晃は別に何も思わなかったがその姉にこう言われた。
「二年うちで暮らしてくれない?」
「えっ、姉ちゃんの家で?」
「そう、私達がオーストラリアにいる間ね」
「二年か」
「その間うちを空けるけれど」
それでもというのだ。
「その間誰もいないとうちも寂れるのよ」
「空き家にしてるとなんだ」
「そう、だからね」
姉の真礼は透き通る様な白い肌で大きなきらきらとした目を持っている、茶色にしている髪はショートにしているがかなり癖のある感じだ。背は一五〇程で胸がかなり目立っている。弟もかなり色白であり姉と同じ髪の質でショートにしているが背は姉より二十センチ以上高く筋肉質で目だけでなく口元もきりっとしている。
「あんたはその間ね」
「姉ちゃんの家でか」
「暮らしていてね」
「いいのかよ、俺掃除しないし家事だってな」
「しないっていうのね」
「それであんな大きな家に一人で暮らしていたら」
それこそというのだ。
「かなり汚れるぜ」
「それでもよ、空き家だとね」
「家が寂れるんだな」
「誰かいるといないのとで全く違うから」
それでというのだ。
「私達がいる間ね」
「姉ちゃんの家で暮らすんだね」
「そうしてね」
実際にというのだ。
「いいわね」
「じゃあ今の俺のアパートはか」
「引き払ってね」
それはというのだ。
「家賃もいらなくなるしいいでしょ」
「まあそれは」
「それに会社も私達のお家の方が近いし」
この好条件もありというのだ。
「悪いことないでしょ」
「それじゃあ」
「ええ、二年の間で」
「姉ちゃんの家でか」
「暮らしてね」
「わかったよ、けれどどれだけ汚くなっても知らないぜ」
「別にいいわよ、空き家にしておくよりずっといいから」
姉は弟に笑って言った、こうして弟に家を預けてだった。
夫婦でオーストラリアに行った、そして晃はその家に入ったが。
一軒家は一人暮らしのサラリーマンには広過ぎてだ、よく友人達にぼやいた。
「男一人で一軒家ってな」
「広過ぎるか」
「どうにも」
「ああ、だから自分の部屋とな」
そこと、というのだ。
「リビングとキッチンとトイレと風呂場以外はな」
「使ってないんだな」
「他の部屋は」
「そうなんだな」
「ああ、アパートで暮らしていたろ」
大学時代からのことも話した。
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