暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
新しい使い魔
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「よし……! できた……!」

 春の朝。
 青年は、その出来にゆったりと背もたれに体を預けた。
 手元にある指輪。
 紫の石を型に埋め込んだ形式のそれを、青年は満足そうに眺める。
 紫の指輪を置き、合計二個の新たな指輪が青年を見返す。出来前に満足しながら、青年は座ったまま伸びる。

「もう朝か……徹夜したかな……ふぁあ」

 青年は大きく欠伸をしながら、部屋を見渡す。
 狭く質素だが、過ごすには申し分ない部屋。
 ラビットハウスという店、その従業員専用の部屋。その店名に違わぬウサギ小屋のような狭さだが、青年、松菜ハルトには全く不満はなかった。
 今日の仕事は午後から。つまるところ午前中は休みである。ハルトは備え付けのベッドで横になり、ひと眠りしようとしていると。

「ハルトさん! おっはようございま〜す!」

 と、元気声とともにドアが開けられた。

「うわっ!」

 いざこれより心地よい眠りへと思ったハルトは、そのいきなりの音量にベッドから転げ落ちる。

「な、何!?」

 一瞬だけ眠気が冷めたハルトは、また瞼が重くなる。

「か、可奈美ちゃん?」
「おっはよーハルトさん。いい朝だよ?」

 少女ながら、年上の男性であるハルトに躊躇いなく顔を近づけてくる。
 彼女が剣術大好き少女、衛藤可奈美(えとうかなみ)だということは、もう何も意識しなくても判別できる。

「ひょうはひゅっふひ……」

 ハルトは欠伸交じりに応える。
 それに対し、可奈美は「え? 何?」と首を傾げた。

「今日はゆっくり休ませてよ。指輪作りのために、寝てないんだ」
「指輪?」

 ハルトは、机の上に指を刺した。
 すると可奈美は、机の上に置いてある紫の指輪を掴み取った。

「うわあ! 新しい指輪だ! 二つも作ったんだね。これ、どんな魔法が使えるの?」
「さあね。まあ、試すのは後。今はとにかくシフトの時間まで眠らせて……」
「えいっ!」
「だから今やめて!」

 だが、ハルトの言うことを聞かず、可奈美はすでに指輪を右手中指に装着。躊躇なくハルトの腰に付いているバックルに当てた。
 魔法の指輪、ウィザードリング。
 松菜ハルトが、魔法石より作り上げる指輪は、ベルトを経由したハルトの魔力に反応。その能力を引き出した。

『ゴーレム プリーズ』
「「ゴーレム?」」

 ハルトと可奈美は、同時に首を傾げた。
 すぐさま、二人の答えは目の前に現れる。
 紫のプラスチックのような質感をもつ、魔力でできたそれ。ランナーから自動で分離、指定されたものを形作っていく。
 やがてできた、それは。

「……ゴリラ?」
「いや、ベルトがゴーレムって言ってたから。ゴーレムだよ」

 可
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ