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仮面ライダーAP
第5話 鉄血の砲火
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「……お可哀想に。そういうことにでもしておかなければ、ご自分を保つことも出来ないのですね」
「なにィ……!」

 そんなブロンズフィロキセラに向けられる、怒りでも憎しみでもない、哀れみの色を帯びた女性の声。その声の主はGチェイサーに跨り、遥か彼方から急接近していた。
 良家の令嬢でありながら、自衛官の友人の「遺品」である強化外骨格を装着している水見鳥清音(みずみどりきよね)。彼女が纏っている「仮面ライダーG-verY(ガーベラゼクス)」のスーツは、陸上自衛隊で試験開発が進められていた「G-4」の流れを汲んでいる曰く付きの代物であった。

 黄色に発光する両眼。赤と白を基調とする装甲、原型機のG-4よりもさらにマッシブにしたシルエット。右肩に刻まれた、G-6というコードナンバー。その外観からは、中身が優雅な容姿の美女であることなど誰も想像がつかないだろう。
 怪人とされる者達も元を辿れば「人間」であり、特に主力の3人が日本人である以上、「国民」に軍事力を行使することは出来ない。そのしがらみを抱えている自衛隊から、警察権を持ち武力を行使できる警察に特例的に融通されたデータが、この機体の基盤にあるのだ。
 どれほどの屍を踏むことになろうとも、必ずノバシェードを潰し無辜の国民を守り抜く。その鉄血の信念が、G-verYというスーツを形成しているのだと言っても過言ではない。

「聞こえませんでしたか? ……哀れだと、そう申しているのですよ」
「脆弱な生身の女が……どの立場で物を言っているッ!」

 ダウンしているティガーとパンツァーには目もくれず、ブロンズフィロキセラは激昂に身を委ね触手を振るう。G-verYのGチェイサーは、その鋭い斬撃を巧みにかわしていた。
 彼女が使用している専用のGチェイサー。その車体の両脇には多目的巡航ミサイル「ギガント改」を搭載するための装備ラックが設けられており、遥花や迅虎が使っている通常仕様よりも、遥かに重量化しているはずなのだが。ブロンズフィロキセラの触手は彼女の愛車に、傷一つ付けられていない。

「ぐおぉおッ……!? こ、こんなバカなことがあるものか……! 通常兵器が改造人間に通じるなどッ!」
「通じますわ。……火力においてはもはや、通常兵器の域ではありませんもの」

 やがて、彼女のGチェイサーが艶やかなカーブを描いて停車した瞬間。そこから降りて来た彼女は、両手に装備した2丁のガトリング式携行型重火器――GX-05「ケルベロスランチャー」での一斉射撃を開始していた。
 従来の携行火器を遥かに凌ぎ、パンツァースマッシャーにも迫る火力を誇るガトリングガン。それを2丁同時に操るG-verYの猛攻は、再びブロンズフィロキセラを後退させていく。

「迅虎、紗月。……決めましょう」
「おうとも…
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