第五章
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「天使も駄目か」
「よっぽど強大な呪いなのね」
「そうじゃな、これはじゃ」
やしゃ孫にさらに言った。
「わしが生きているうちに日本一は見られるか」
「どうかしらね」
「わからんか」
「ひいひいお祖父ちゃんもそろそろ百歳だしね」
「もう九十六じゃからのう」
「だったらね」
まさに百歳までカウントダンに入っている。
「どうかしら」
「百歳まで生きればどうか」
「頑張る?」
「その間に優勝するか」
「日本一ね」
「なれるか」
「だからそんな強烈な呪いなら」
魔王も大天使もどうにもならないと言ったまでのだ。
「もうね」
「それならか」
「物凄く難しいでしょ」
ただ難しいだけでなくというのだ。
「やっぱりね」
「そうか」
「ええ、ひいひいお祖父ちゃんには悪いけれど」
「そう言うか、しかしわしは今決めた」
治平は強い声で答えた。
「悪魔も天使も無理だと言ってもな」
「かえってそれならってなったのね」
「そうじゃ、わしは日本一を見るまで生きる」
阪神のそれをというのだ。
「そうするぞ」
「じゃあ」
「うむ、これまで通りあらゆる神仏に願って」
そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「阪神の日本一を観るのね」
「今年は残念だったが諦めるか」
「クライマックスああだったけれど」
「それでもじゃ、では帰ってデイリーと週刊ベースボールを読んでファンサイトも巡り」
彼の日課にもなっている、日々そうして頭を必死に使っているのでそちらが衰えることはない。また甲子園まで歩くのも日課なので足腰もである。
「来シーズンの阪神の戦略も練ろう」
「そうするのね」
「そうじゃ、魔王も壇天使も匙を投げても」
そうしてもというのだ。
「ファンは違う、これからもな」
「阪神を応援して」
「チームと共に日本一を目指すぞ」
「それが真のファンね」
「そうじゃ、では帰るぞ」
黒羽にこう言って彼女を連れて家に帰った、彼は意気揚々と家に帰っていったがその帰り道にハルパスとザフキエルが出て来て彼に怒鳴ってきた。
「最初からそうしろ!」
「呼ばれる方の身にもなれ!」
こう叫んだ、だが治平はもう彼等にはわかったと言うだけだった。もう結論は出ているのでそちらに向かうだけであった。ただ一人黒羽だけは来年の今頃も似た様なことを言っている可能性が高いと思っていた。呪いがある故に。
そんなこと出来るか 完
2021・11・14
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