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車から放り出されて
第一章
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                車から放り出されて
 イギリスのコヴェントリーでのことだ。
 この町に昔から住んでいる夫婦はその停車したバンを最初何でもない顔で見た、だが妻がこう言った。
「ねえ、おかしいわ」
「どうしたんだ?」
「あそこ駐車禁止よ」
「そうだな」
 標識を見ればそうだった、夫も気付いた。
「あそこは」
「あんなところに停めるなんて」
「標識見てないのか?」
「無視してるのかしら」
「注意するか」
 二人でバンの方に行こうとすると。
 バンから柄の悪そうな男が出て来てだった。
 バンの後ろのドアを開けると。
「クゥ〜〜ン」
「クンクン」
「ワン」
「ワオン」
「ワンワン」
「ワフゥ」
「クゥンクゥン」
 七匹の犬達が出された、その犬達は。 
 スパニエルやテリアのミックス犬だった、その彼等が。
 全て車から出されてだ、そうしてだった。
 男は犬達を全て出すと彼等に見向きもせず車に戻ってだった、出発した。犬達はそのバンを追いかけていったが。
 車は無慈悲に去って行った、それでだった。
 夫は妻に顔を顰めさせて言った。
「おい」
「ええ、捨てたのね」
「ああ、間違いないな」
「何かと思ったら」
「犬を捨てたのか」
「そうね、あの車と男の人も気になるけれど」
「まずはあの子達だ」
 犬達をというのだ。
「助けよう」
「捨てられたのならね」
「すぐに助けないといけない」
「そうしましょう」  
 夫婦で話してだった。
 二人は即座に警察と動物虐待防止協会地元のその組織に連絡してだった。
 犬達を助けた、その団体の職員ヴィッキー=テーラーくすんだ金髪と面長の顔に灰色の目を持つ彼は辺りを動き回って夫婦に話した。
「もうです」
「皆ですか」
「保護してくれました」
「七匹全員、あとはです」
 彼は夫婦に話した。
「私達に任せて下さい」
「あの子達を助けてくれますか」
「そうしてくれますと」
「そのバンと男も気になりますが」
 犬を捨てた彼もというのだ。
「しかしです」
「それでもですか」
「まずはですね」
「あの子達です」
 犬達のことが大事だというのだ。
「ですからここはです」
「はい、それでは」
「宜しくお願いします」 
 夫婦はテーラーに心から頼んだ、そしてだった。
 二人は暫くしてテーラーから言われた。
「そうですか、七匹共ですか」
「診察を受けてですか」
「皆弱っていても」
「ちゃんと回復してですね」
「飼い主も見付けてくれたんですね」
「はい、名前も付けました」 
 テーラーは笑顔で話した。
「チャーリー、エドワード、エリザベス、メアリー、ジョン、リチャード、アンです」
「どの子もですね」
「ちゃんと
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