第二章
[8]前話
彼は家のない生活を続けていた、その中で。
二匹にそれぞれパーティーハットを被せてだった。
ケーキを買って一緒に食べて友人に笑顔で話した。
「お祝いだよ」
「誰へのですか?」
「こいつ等のだよ」
ネナとシャギーパーティーハットを被って一緒にケーキを食べている彼等を愛し気に見てそのうえで話す。
「お祝いのだよ」
「パーティーですか」
「こいつ等それぞれ今月が誕生日だからな」
「それでなんですね」
「ああ、一緒にな」
「お祝いですか」
「そうさ、家族だからな」
それ故にというのだ。
「だからな」
「お誕生日をですね」
「一緒に祝うんだ、こいつ等がいてくれたらな」
アントニオは友人に笑顔のまま話した。
「俺はもうな」
「いいですか」
「満足だよ、仕事もあって暮らしていけるしな」
このこともあってというのだ。
「それでこいつ等が家族だ、ならな」
「満足なんですね」
「ああ、家はなくてもな」
そうであってもというのだ。
「俺は幸せだ、それで幸せをくれるこいつ等とな」
「パーティーですね」
「今それを楽しんでるんだよ、これからもな」
街の階段のところに二匹と一緒に座ってケーキを食べつつ話す。
「俺達は一緒さ」
「そうして暮らしていかれますか」
「楽しくな」
「そうされるんですね」
「ああ、ずっとな」
笑顔で言ってケーキを食べた、家族と共にケーキを食べるその顔はとても楽しそうであった。友人もそんな彼と犬達を見て笑顔になった。
そしてワインを買ってきてアントニオに差し出した。
「おごりだ、飲めよ」
「悪いな」
「ああ、俺も入っていいか」
「いいさ、ただな」
「ただ?どうしたんだ」
「犬に酒は止めてくれよ」
これは断るのだった。
「犬には毒だからな」
「それでか」
「俺はもらうがな」
「じゃあミルク買ってくるか」
「そっちは俺がやるさ」
「そうか、じゃあな」
「ああ、一緒に楽しもうな」
こう言って友人も加えてだった。
犬達と共に彼等の誕生日を祝った、アントニオは笑顔で犬達は嬉しそうに彼の傍にいて尻尾をぱたぱたとさせていた。
犬達へのバースディプレゼント 完
2022・2・24
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