第二章
[8]前話
「人様の税金で暮らしてるのか」
「許せねえな」
「とんでもねえ屑共だな」
「そう思うと腹立ってきたな」
「そうだな」
「何かしてやるか」
「壁に落書きでもしてやろうぜ」
「ああ、こんな連中にはしていいだろ」
こうした話になってだった。
彼等は夜中や人がいない時にだった。
家の壁にスプレーで落書きをしていった、その落書きはというと。
「この家には人でなしがいます」
「犬捨てて赤ちゃんほったらかし」
「命を何だと思ってるんだ」
「犬飼う資格なしふざけるな」
「ほったらかしにした赤ちゃん殺す気だったのか」
「人間やめちまえ」
「いなくなれ」
中学生達が書くとだった。
高校生や小学生達もだ、次々と書いていった。
「保健所で犬は殺処分されます」
「自分の娘を保健所送りにした屑夫婦の家です」
「国民の税金で働かないで飯食ってます」
「悪いことして生活保護最高」
「犬と子供捨てて生きてます」
「生きものの命や心も何とも思ってません」
やがて落書きだけで済まず。
「ゴミ捨てようぜ」
「こんな連中の家には何をしてもいいしな」
「ゴミも捨ててやれ」
「落書きだけで済ますな」
「これ位何でもないだろ」
「屑には何をしてもいいんだよ」
こう話してそうしてだった。
ゴミまで捨てられた、百田家はこうして落書きとゴミだらけになり。
酒浸りの夫婦はそれをなおすこともなくただひたすら飲むだけでだった。
「ひでえ家だな」
「ボロボロじゃないか」
「落書きとゴミだらけで」
「そして掃除もしないで」
「滅茶苦茶だな」
「こんな家に住みたくないな」
「悪いことした連中はこうなるんだな」
「俺達も覚えておかないとな」
落書きをした学生達も見て思った、そうして。
酒ばかり飲む夫婦は風呂も洗濯もなおざりになってだった。
やがてゾンビの様な外見になった、酒を買いに外に出たり庭でだらしなく飲んでいるその姿を見てだ。
近所の人達は口々に言った。
「何だあれは」
「ゾンビかよ」
「近寄りたくないな」
「ああ、絶対に嫌だな」
「相手にしたくないな」
「全くだな」
誰もが夫婦を避ける様になった、酒を買いに行く店の店員達も内心嫌がった。もう彼等を相手にする者はいなかった。ただひたすら落ちるだけだった。
誰にも相手にされず 完
2022・2・24
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