第一章
[2]次話
誰にも相手にされず
百田家の夫婦の家の前を通った主婦は自分が手を引いているまだ幼稚園児の息子に対してこう言った。
「いい?この家の人達は最低の人達なのよ」
「最低なの?」
「飼っているワンちゃん捨てて自分達の赤ちゃんもほったらかしにする様なね」
二人がしたことを話した。
「そうしたことをするね」
「最低な人達なんだ」
「だからね」
それ故にというのだ。
「この人達みたいになったら駄目よ」
「ワンちゃん捨てたりなんだ」
「自分達の子供をほったらしにする様なね」
「そうしたことをしたら駄目なんだね」
「人もワンちゃんも同じ命があるものでね」
それでというのだ。
「心があるの、そうしたものは何よりも大事にしないといけないの」
「このお家の人達は大事にしなかったんだ」
「平気で捨てたの、お母さんいつもものは大切にしなさいって言ってるわね」
「うん、食べものもおもちゃもね」
「その中でも命があるものはね」
とりわけというのだ。
「大切にしないといけないの」
「この人達は大切にしなかったんだね」
「それは人間として最低なことでね」
「このお家の人達は最低なことをしたんだね」
「そうよ、だからケンちゃんはね」
息子に優しくだが確かな声で教えた。
「このお家の人達みたいになったら駄目よ」
「うん、僕ならないよ」
息子も幼いながらも確かな声で答えた。
「そんなことはね」
「しないでね」
「何があってもしないよ」
母に約束した、そうしてだった。
主婦は息子の手を引いてその場を後にしたが夫婦の家をこれ以上はないまでに軽蔑した顔で見てからそうした。
そしてだ、そのうえでだった。
街の中学生達が家の前を通った時こう話した。
「この家だよな」
「ああ、犬捨てて育児放棄した夫婦の家だな」
「それで禁治産者になったんだな」
「今それで生活保護受けてるらしいな」
「そうらしいな」
「今は税金で飯食ってるんだな」
「犬捨てて赤ちゃんもほったらかしにして」
二人の家を観つつ話していった。
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