暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
憑魔アンビバレンス
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達の命を天秤にかけて、勝手に自分達が劣位……排除される側になるかもしれないと知れば、その裁定が下る前に自分達で生存の権利を勝ち取るべく異邦人を全力で排除するでしょう」

『それは……生き残るためならば人類種は自らの意思で、特定の人間を人類種から除外するってことですよね……。そんな村八分より酷いことを、ヒトは簡単にやるんですか……?』

「ええ。例え善人でもその時が来て必要だと判断すれば、“やる”と私は断言します。あなた達だって例外ではありません。今は答えを出せずとも、いざその時が来れば自然と同じ答えに至るでしょう」

『でも……』

「まだ認めたくないですか? 理想論や性善説を信じるのは勝手ですが、前提条件を覆す力が無ければ、この状況においてそれはただの妄言、逃避に過ぎません。いいですか、これは生存競争であり戦争なんです。戦争を止めるには起こす以上の力が必要だというのに、非力な存在が全てを救おうなどと宣うこと自体が愚かなのです」

『……』

「……スカルフェイスは言いました。報復心が全てを繋ぐということは、報復心を断つことは全てを壊すことでもある、と。この世界は輪廻に閉ざされ、未来が失われています。その輪廻を断ちたいなら、全てを壊すほどの力が必要だと思いませんか?」

転移魔法の準備をしながらそんなことを言ったニグレドに、ツヴァイは怖気が走る。2年前の出来事や今の状況を含む……全ての辻褄が合う取っ掛かりに触れた気がしたが、そこから漂ってきた闇の気配は覚悟もないまま触れて良いものではないと、機械であるにも関わらず彼女は本能的に察したのだ。

「今代の接触者への報復心により鍵は強化され、初代接触者を超える力を備えさせる。鍵は神を滅ぼす者の憑代として、輪廻を断つ武器になる。こうして全てはゼロになります」

直後、転移魔法が発動し、リインフォース・ツヴァイはギジタイから姿を消した。


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第1管理世界ミッドチルダ
クラナガン中央部


「よし、シェルターからリトルクイーンを十分引き離せた……」

戦域がここまで移動したことで、私は自分の対応が実ったことを把握した。戦闘面でも距離が離れると向こうが有利だから“天よりふり注ぐもの”による弱体化で牽制しつつ、徹底的に接近戦を挑んできたが、そもそもあの近くで戦っていればシェルターの一般人が巻き込まれる可能性が高かった。故に彼女を戦いに熱中させることで、戦域がシェルターから離れていくことを気付かせなかったのだ。

ここなら今までの襲撃で既に周囲の建物は崩れているし、一般人もいないから、多少の広範囲攻撃が撃たれた所で犠牲が出ることは無いだろう。

「あれ? いつの間にかシェルターから離れすぎちゃってる!? ……あ
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