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リリなのinボクらの太陽サーガ
憑魔アンビバレンス
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たは自らの死を選べますか?」

『それは……つ、罪を償うためなら私はえら――』

「あなたが死んだら、八神はやては悲しむでしょう。騎士達も悲しむでしょう。かつて暗黒の戦士が消失した時のように、マキナ・ソレノイドが死した時のように、彼女達はとてつもない悲痛に苛まれるでしょう。それがわかっていて、あなたは死を選びますか?」

『そんなこと言われたら……償いのためでも、絶対に選べなくなるじゃないですか……! じゃあどうしたら答えが出るんですか、こんな問いに私はどう答えればいいんですか!?』

「質問に質問で返すとは……質疑応答すらまともにできないダメダメな姉妹で私は悲しいです。仕方ありません、その問いは宿題として考え続けておくように。では先程の問いに前提条件を追加しましょう。これなら今でも答えられるはずです」

『前提条件?』

「その人物が他の世界に行けるなら……いえ、無関係な世界から訪れている場合はどうでしょう? 異邦人がよその世界に対し、自分が犠牲になってでも守りたいと思う程の気持ちを抱くと思いますか?」

『あ〜それは……その世界の住人じゃなければ、あまり本気になってくれないように思います……』

「でしょうね。もし管理局が健全かつ真っ当な組織として機能したとしても、その認識の発生は逃れられません。あなた達ですらためらうのに、異邦人が命を捧げる覚悟を抱くこと自体がありえない」

『で、ですがそれでは世界が滅ぶことになりますよね? 結局こういう時は、大人しく全員で心中するしかないんでしょうか……』

「ではその“全員で心中”という答えを、住人であるあなたは受け入れられますか? 誰も血で汚れない代わりに、八神はやてや騎士達、仲間や友人全員の未来を諦め、皆で一斉に終わることを……認めますか?」

『皆の終わりだけは……認められる訳ないでしょう……ですが、そのために誰かを犠牲にするのはやっぱり間違ってるはずです……』

「倫理的にはそうでしょう。しかし倫理は綺麗ごとを明文化したもの、その倫理が答えを出したのなら、あなた達の好きな綺麗ごとではどうにもなりません。そして大多数のヒトはこういう場合、倫理から目をそらし、強引な理屈をつけて“排除”を正当化します」

『は、排除を正当化って……』

「少しでも歴史を紐解けば、人類が戦争を口実に様々な行為をしてきたことぐらいわかるはずです。……いえ、あなた達が守ろうとする平和な日常でも、ヒトの残虐性は多く発露しています。なにせヒトは生物の中で唯一残虐性を持つ生命種……生存本能とは関係なく相手を貶め、辱め、蹴落とす。ほとんどの人間は自分が優位に立つ快楽から逃れられません。だからこそ自分達が劣位になる可能性は見つけ次第、徹底的に排除します。そう……誰かが異邦人一人の命と、自分
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