憑魔アンビバレンス
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中心には、
「う、そ……!?」
それは武装を展開したリインフォース・アインス……ではない。今の彼女とは違い、紅く禍々しい様相に包まれており、片手には八神はやての下にあるはずの夜天の書があった。即ち……、
「その姿はまさか……闇の書だった頃の……!」
「デアボリック・エミッション」
かつての闇の書の管制人格の姿を模したニグレドの手から広域殲滅魔法が発動し、衝撃を受けていたツヴァイは対応が間に合わなかった。
「がっ!? うあぁッ!?」
デアボリック・エミッションにより、ツヴァイの身体は容赦なく分解され、粉々に砕かれていく。その想像を絶する痛みを与えられたツヴァイは、ただただ悲鳴を上げることしかできなかった。
「私は今『デアボリック・エミッションで攻撃される』という情報を送り、あなたはダメージを受けている感覚を味わっています。あなたの頭脳がそれを本物だと認識しているからこそ、『死ぬほどの痛みを受ける』という結果があるのです。ええ、その苦しみが、痛みが本物ではないと知識では知っていても、頭脳が本物だと認識してしまえば、意識による抵抗は無意味となります」
「ぐ……ごふっ……!?」
またしても頭に電流が走るような感覚と共に周囲の光景が一変し、先程と同じコンピュータールームに戻される。その際、粉々に分解されたはずのツヴァイは元通りの状態に戻されており、傷一つもダメージを受けていない。しかし……
「ゴホッ、ゴホッ!」
ツヴァイはとてつもない疲弊感を味わっており、あるはずの無い痛みもまだ残っていた。
「現実と幻想は受け取る側の認識でいくらでも入れ替わります。あなたは今見ているのが夢幻じゃないと、自分は現実を認識しているのだと、誰かに証明できますか? 何を以って現実だと示せるのですか? 現実を定義するものは何なのか、答えられますか? そもそも自分の認識が本物なのか、疑ったことはありますか? 今までの記憶が全て偽物で、本当のあなたは夢を見ているだけ……そう考えたことはありますか?」
「ゴホッ……そ、そんなこと言われても……」
「あなたや大半のヒトにとっては、今見えているものが本物だと思うしかない。常識であるその在り様を否定するつもりはありません。しかしそのおかげで私の構築した拡張現実の世界に、あなたの認識を閉じ込めることができます。もし誰かが来ようと結果は同じ。表層意識では起きているにも関わらず、無意識は私の支配下に置かれます。そして意識は現実と乖離し、景色、感覚、記憶、全てが偽物であり幻になります。私の世界に武力は不要……警備の機械も、巡回のアンデッドも必要ありません。私さえいれば、ギジタイには何人たりとも手は出せません」
「そ、そんな……! こんな所でわたしが捕まっちゃったら、アイ
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