憑魔アンビバレンス
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効果は様々ですが、今回重要なのは“可能性を開く力”と、“可能性を選ぶ力”です」
「開く力と……選ぶ力?」
「“鍵”は開閉するもので、“接触者”は選択するもの。可能性があれば“鍵”はそれを開くことができ、“接触者”はそれを掴み取ることができます。例えば宝くじで、イカサマか何かの理由で一等の可能性が無ければ、“鍵”は一等が当たる可能性を生み出します。一方、“接触者”は例え1%以下の確率でも当たる可能性があれば、一等を当てるという結果を掴み取ります」
「簡単に言うと、“鍵”は0を1にして、“接触者”は1を100にするってことですか? でもそれはどういう……」
「この世界は輪廻の輪に閉ざされており、ある時点から未来が存在しません。今回の世界は想定より早いと見込んでいますが、過去の周回世界によると具体的には12年後に確実なタイムリミットが訪れます」
「輪廻の輪……未来が存在しないですか……!? じゃあ私達がいくら贖罪を頑張ったところで……」
「全て無意味となります。しかしシャロン・クレケンスルーナの帰還により、公爵の計画は本来の形に戻りました。ラタトスクの悪あがきのせいで高町なのはを鍵の代理に仕立てる事になっていましたが、まぁ結果的には都合が良くなりました」
「それは……一体誰にとってですか?」
「判断はご自由に。接触者と鍵……世界の存続に必要なのは接触者でも、世界の変革に必要なのは鍵の方です。なにせこの世界を輪廻に閉じ込めているのは、突き詰めると最初の接触者の意思ですから、それを変えなければ根本的な解決には至りません」
「最初の接触者? なぜそういうことを知っているんですか? ニグレド……あなた、本当は何者なんです?」
「私はプロジェクト・ディーヴァの根幹を為すAI『拡張現実の電脳王』であり、“らりるれろ”の意志をも授かった超大規模情報処理システム、『J・D』。故に私は情ではなく、総合的に見て人類種を存続できる可能性が高い方に味方します」
暗に『管理局に味方する=人類種を存続できる可能性が低い』と宣言されたも同然なのだが、今のツヴァイはそれに気付く余裕が無かった。
「拡張現実……? ジェーン・ドゥ……?」
「拡張現実とは、存在しないものを現実に存在しているようにする技術、と言えば伝わりますか? ギジタイと繋がっている私は大量の情報処理能力を駆使することで、侵入者に幻を現実として認識させることができます。そう、ギジタイの中は全てが私の領域、私の世界。だから……」
突如、ツヴァイの頭に電流のような痛みが走り、彼女の認識する世界が一変した。星空が瞬く夜闇の中、ツヴァイは眼下に月明かりに照らされた青白い雲海が広がる高空で宙に浮いていた。そんな雲海の
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