第2部
エジンベア
美少女コンテスト最終審査・前編
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進めない。
そうこうしているうちに、ようやく第二の障害物が見えてきた。
「これは、坂?」
坂というより、ほぼ垂直な壁に見える。その壁にはところどころにこぶし大ぐらいの石が埋め込まれていて、いかにも上ってくださいと言わんばかりの存在感を放っている。
おそらくこの石に手を掛けて登るのだろう。とは言えこれは、普通の女の子にはなかなか厳しい試練だといえる。
けれど、日頃魔物を倒すために鍛えている私にとっては、むしろ絶好のトレーニングだ。私はひょいひょいと、難なく崖を登っていく。上に登った後は、今度は同じように崖を降りていく。登り降りするよりも、ドレスに引っ掛からないようにするのが大変であった。
「なんと、ミオ選手、第二の試練もあっさりクリア!! 快進撃が続きます!!」
司会のノリノリな口調に、私も絶好調の気分だ。このまま行けば、一番に到着できるかもしれない。
すると、今度はすぐに次の障害物が立ちはだかった。
それは、通り道を完全にふさぐかのように置いてある大きな岩だった。私の背丈ぐらいはあるだろう。
「ミオ選手、続いて最後の第三の障害物までやってきました!! ですがこれはただの大岩ではありません!! 大岩の形を模したただの張りぼてですので、簡単に動かすことができます! 問題はこの大岩をどうやってどかして先へ進むかという、実は頭を使う試練なのです!!」
なるほど、そういうことなら、とりあえずここから動かして……。
……。
どういうことか、大岩はピクリとも動かない。
もう一度気合を入れなおして押してみるが、
「せーのっ、ふんっ!!」
……。だめだ、やっぱり動かない。本当に張りぼてなの?
「……変ですねえ。確かに昨日の準備の段階では張りぼての方を用意したはずなんですが……」
司会の人の言葉に、観客の方でもざわめきが起こる。
ひょっとして、本物の岩!?
まさか、準備している間にすり替わったとか?
いや、それはただの推測でしかない。それに、わかったところで私の前にあるこの大岩は簡単には動いてくれないのだ。
「ああっ、そうこうしている間に、マギー選手も第二の試練のツルツル床で脱落したー!!」
とうとうマギーも脱落してしまった。というか、コンテストにしては、障害物が過激すぎない?
私が疑念を抱いていると、再び司会の声が聞こえてきた。
「その隣では、ヘレン王女がついに第三の障害物である暗闇の部屋を突破しました!! あとはゴールまで到着するのみ!!」
――嘘!? いつの間に全部の障害物をクリアしたの!?
まずい、このままでは、ヘレン王女が先にゴールしてしまう。この岩を押している時間なんてない。
そうなると、やることは一つ。
私はためらうことなく、大岩の方に向き直ると、その大岩に向かっ
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