第2部
エジンベア
美少女コンテスト最終審査・前編
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深呼吸をして合図を待つ。
「それでは、スタートしてください!!」
司会の合図と同時に、皆一斉に扉を開き、迷路へと入った。ちなみに観客席は盛り土の上に設置されており、迷路の中の様子を見下ろすことができる。もちろん観客が出場者に指示やヒントを出すのは禁止となっている。
そして迷路に入って早々、一つ目の障害物が私の前に立ちはだかった。
「こ、これは……!!」
その招かれざる者に私はぴたりと立ち止まる。その小さいながらも存在感のある体に、私はごくりと唾を飲み込むと、じりじりと『それ』から距離を取る。
しまった、動いた!!
その素早い動作に、一瞬判断が遅れた。だが、実はこっそりドレスの袖に星降る腕輪を装着していたので、気合とともにその力を発動する。
「えいっ!!」
私は意を決して『それ』を捕まえた。その一部始終を見ていた何人かの観客が、恐怖の入り混じる悲鳴を上げる。
そして『それ』を手にした私は、天幕で囲われた迷路の壁をめくり上げ、そっと外へ逃がしてやった。
「ゲコ、ゲコ!」
『それ』――大きな緑色の体をしたガマガエルは、私にお礼を言うように一声鳴くと、ぴょんぴょん飛び跳ねながら去っていった。
「おーっと! ミオ選手、第一の障害物であり、女性の大半が見た瞬間怖がって逃げ出すと言われる『カエル』を難なく攻略した!! さすがです!!」
えっ、カエルってそう言う存在なの!?
驚愕の事実に、私は愕然とする。
私の村では作物の取れない時期など、緊急時の対策としてその辺にいるカエルを食べる習慣がある。なので私の中でカエルは、豚や鶏と同じ、食糧としての認識でしかない。けれど今は飢えてるわけでもないし、普通に逃がしただけだったのだが。
そっか、カエルは女性が苦手なものの代表格みたいなものなのか。
ともあれ、第一の障害物は難なくクリアできた。私は急いで先へと進む。すると、
「なんと、ここへきてシャノン選手が毛虫に阻まれ、脱落しました!!」
ええっ、もう脱落!?
しかもその言い方だと、たった一匹しかいないように聞こえるんだけど?
みんな虫とかカエルに免疫がないのだろうか?
「隣のマギー選手は、なんとかネズミから逃れて第一の障害物はクリアです!!」
マギーのところはネズミかぁ……。ネズミも調理法によっては……って、今はそんなこと考えてる場合じゃなかったんだった。
「ヘレン殿下は目の前にある大きな水溜まりを越えなければなりません!! ……おおっと!! 偶然落ちていた防水ブーツを履いて、難なくクリア!!」
……なんだかヘレン王女だけ簡単そうな気がするのは気のせいだろうか?
ともあれ私の方も急いで進んでいくが、この迷路自体もなかなか凝った造りになっているのか、途中行き止まりに突き当たったりして、なかなか前に
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