魔王、始動。
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【魔王視点】
ー魔王城 玉座ー
私は一体何者なのだろうか。
この世に生を受けたのは今からおよそ百年前くらいだろう。
くらい、というのは、その時の記憶があまりよく思い出せないからだ。
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まず最初にわかったことは、どうやら私は前からこの土地に住んでいた、ヒトという生命体とは異なる生物だということだ。外見は人間の女性と似ていたが、同じ種とはいえない造形だった。私のような生物を人間は魔族、と名付けたので、その名前はそのまま使うことにした。
そして、どうやら魔族は私だけではないらしかった。
私の周りには、何かこう、形容しがたい奇妙な生物がうろついている。そいつらが人間を襲っていったせいで、私の近辺にいた人間はほとんど死に絶えた。正直、私自身人類と争う理由も特にないのだが、それは私の知能が比較的高いからだろう。
とにかく、このまま考えていても仕方ない。
今いるのは、人類が使っていたらしい王城だ。
この近辺の書物を漁ってみるか。
片っ端から書物を眺める。
あー、駄目だ。全くわからない。
もっとわかりやすい文字にしろよ。
まぁ、嘆いていても仕方ないか。
せっかくこの世に生まれたんだし、やれるだけやってみよう。
そして、それなりの年月を経て、涙ぐましい努力でなんとか人類の言語を習得した。
と、そうしているうちにわかったことがある。
まず、土地についてだ。
私が今いる城と、人類が追い込まれていった都市は両端で、ちょうど真反対で、徒歩二、三日の距離だ。
全体の地形は、楕円型で、周りは海に囲まれている。
そして、私のような、他の個体と異なる上位種が私以外にもいるらしい。
どうやらそいつらが人類と敵対しているらしい。
薄暗い騎士みたいなやつとか、やたら数が多い蛇みたいなやつとか。
それもあってか、人類は徐々に大陸の端に追いやられていっている。
幸い私がいるのは人類から一番遠い場所だから、巻き込まれることはないだろう。
いや、そうは言っても心配だなぁ。上位個体は特別な魔法を使えるから、それを究めておこう。
さて、魔法究めるかー。
えーっと、どうしようか?
私の魔法は空間を歪めるものだ。とりあえず発動するか。
とても頑張って力を入れると、目の前の視界が若干ブレた。
成功?うーん....
まあいいか。このまま使い続けていていれば上達すると思うし。
しかし、魔法はあまり変化しなかった。
それどころか、あまりよくないことを知った。
人類が魔法を発現したっぽ
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