第2部
エジンベア
美少女コンテスト予選・後編
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会場の雰囲気を見てみると、観客席の反応も悪くないようだ。
「……では最後に、ミオさんの特技を教えていただきたいのですが……」
来た! 出場者全員が受けたであろう最後の質問! 仕方ない、ここは打合せ通り、ダンスで行くしかない!
「はい、実は私……」
「先ほど確か、正拳突きがどうとか仰ってましたよね? もしかして武術か何かを嗜んでおられるのでは?」
「へ?」
やっぱりさっきの聞こえてたぁぁ!! どうしよう!!??
いやでも、そんな事を聞かれたら、答えるしかないよね。
「は、はい。幼い頃から武術の師匠のもとで……」
「でしたら、その正拳突きを見せてもらってもよろしいですか? 実は私、格闘マニアでして、私事で申し訳ないのですが、どうしても本物の技が見たいのです」
予想外の展開に、困惑する私。けど、そこまで言われて断れる雰囲気ではないし、何よりその提案を蹴ってまで披露できる程の特技など他に持ち合わせていない。
「わ、わかりました! 」
「では、私のお腹に一発……」
「待ってください! それは流石に出来ません!!」
普段魔物相手に行ってることを、生身の人間が受けたらどうなるか。いくらリクエストとは言え、殺人者にはなりたくない。自ら技を受けようとするだなんて、格闘マニアの人って、変わった人が多いのだろうか?
「ああ、すいません。つい……。では、型だけでもお願いします」
「は、はい」
私は言われた通り、正拳突きを繰り出す動作を行った。美少女コンテストの舞台で、私はいったい何をやっているんだろう?
「ああ!! 何て美しい!! ありがとうございます!!」
司会がひときわ大きな拍手を鳴らすと、それに付随するかのように観客席からの拍手が沸き起こる。
「十二番、ミオ・ファブエルさんでした!!」
ステージから降りる際、ちらりと審査員席に視線を移すと、意外にも武術に興味があるのか、私を好奇心に満ちた目で見る人が多くいた。
だけど審査する人たちは王族や貴族など、お金持ちの人たちばかりだ。果たして私はそんな人たちのお眼鏡にかなったのだろうか?
来たときと反対側のステージ袖へと促されると、私は不安で頭をもたげながら自身の出番に幕を引いたのだった。
「随分と面白い喜劇でしたわね!」
ステージを降り、舞台袖へと戻った途端、いきなりヘレン王女が目の前に立ちはだかった。彼女はいつのまにか他の出場者数人の取り巻きを従い、明らかに見下すような態度で言葉を続ける。
「ですが、ここは女性としての美しさを披露する高貴な場所ですの。野性味溢れる方が野蛮な技を披露する場所ではございませんのよ?」
王女の言葉に、取り巻きの方々から失笑が漏れる。小声で「あんまり笑ってしまっては可愛そうですわ」「知らない方が幸せなこともありますわよ
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